8速ATを搭載した「GRヤリス」のコックピット。2ペダル仕様だ

 トヨタ自動車は「GRヤリス」向けに8速自動変速機(AT)を開発し、スーパー耐久シリーズに搭載車を投入した。過酷なレース環境下で耐久性などを改善し、市販車への搭載を目指す。

 市販のGRヤリスは1・5㍑自然吸気エンジンのエントリーグレード「RS」に無段変速機(CVT)を採用するが、1・6㍑ターボエンジンと四輪駆動を組み合わせた高性能グレード「RZ」には手動変速機(MT)のみの設定だ。8速ATはエンジンの出力を無駄なく引き出し、スポーティー走りとイージードライブの両立が可能になる。

 開発中の8速ATは「DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)」と呼び、エンジン回転数やアクセル開度などから適切なギアに自動で変速するという。

 2022年から「TGRラリーチャレンジ」に参戦するGRヤリスに搭載して開発を続けてきたが、今月上旬に開かれたスーパー耐久レース第5戦(モビリティリゾートもてぎ)の参戦車両にも初めて搭載した。ラリーより高速で走り、タイヤのグリップ力も高いことからATへの負荷もより大きくなる。

 予選では高温によるトラブルに悩まされたものの、決勝は冷却対策を施し、無事完走を果たした。今後も改良を続けて市販化を目指す。