クルマの進化に対応した新たなキャンピングカーが登場した。キャンピングカーのシェアリングなどを手掛けるカーステイ(宮下晃樹代表、横浜市旭区)は、電気自動車(EV)がベースの「T―01(タイプワン)」を発売した。同社によると、EVキャンピングカーの販売は国内初という。初年度は年間20台の販売を目指すほか、自前のシェアリングサービスで貸し出す計画。アウトドアファンの中で、環境志向が高いユーザーの需要を開拓する。また、将来のキャンピングカーの姿をいち早く示すことで、新たな市場創出にもつなげる狙いだ。
ベース車は新興EVメーカーのHWエレクトロ(蕭偉城=ショウ・ウェイチェン=社長、東京都江東区)の商用EV「エレモL」。内装には拡張可能なベッドのほか、冷蔵庫などの家電製品を標準搭載した。また、床材などは電費性能に配慮して、強度と軽量化を両立した資材を使用する工夫も行ったという。
宮下代表はキャンピングカーの将来について、「自動運転やEV化に伴い、より家に近い存在に進化する」とみている。従来の車両もさまざまな家電製品を搭載しているが、電力の使用量がネックとなり旅行先で支障が出るケースも少なくない。そこで「EVの走行用のバッテリーを活用できれば、より快適な車内空間を実現できる」と考え、T―01の開発に乗り出した。家電製品の稼働はサブバッテリーのほかに、駆動用のメインバッテリーから給電する仕組みになっている。
また、キャンピングカー市場の活性化も狙いの一つだ。同社は、まだ市場拡大の余地があるとみている。その上で、近年ユーザーが増加しつつあるEVとの相乗効果を高めることで、新たな需要が開拓できるとみている。
一方で、走行用バッテリーの電力を使用する場合は、航続距離の低下を招く恐れがある。この課題解決には、「出先で駐車する場所が鍵になる」と、宮下代表は指摘する。近年は各地でEV用充電器の設置が進んでいる。キャンピングカーを長い時間駐車できるところに、こうしたインフラがあれば、電力を補いやすい。同社は今後、他社との連携なども検討しながら、インフラ面の強化にも取り組みたい考えだ。
T―01はまず、今秋にシェアリングサービスでの利用を開始する。その後、購入希望者には早ければ2024年春にも納車を開始する見通しだ。また、将来的には、軽自動車やトラックなどのEVをベースにしたキャンピングカーの製作にも取り組む方針だ。
(後藤 弘毅)







        
        
        