住友電気工業は、電気自動車(EV)向けパワー半導体材料の新工場を富山県高岡市に建設する。兵庫県の伊丹製作所に新設する生産ラインと合わせ、計300億円を投じる。2027年10月にも、直径6インチサイズの炭化ケイ素(SiC)ウエハーの量産を始める。

 SiC系半導体は、主流のシリコン(Si)系と比べて高電圧に耐え、電力損失を低減できることから、車載向けの需要が急増するとみられている。同社はSiCウエハーについて、これまでサンプル出荷を行ってきたが、電動化による需要増に対応するため量産を決めた。基板に成膜加工を施した「エピタキシャルウエハ」で年間12万枚を生産する計画だ。

 半導体用ウエハーは、生産性向上の観点から大口径化が進んでおり、今後8インチへの移行が本格化するとされている。同社も生産状況や需要動向をみながら、8インチの量産も視野に入れていく。