大同特殊鋼は10日、トラックや大型建設機械などに搭載されるクランクシャフトやリアアクスルシャフトなどの型鍛造製品、ハウジング製品の生産から撤退すると発表した。トラック国内市場の縮小などで収益が低迷し、改善も困難だと判断した。客先と調整の上、2023年度から順次生産を終了し、24年度をめどに撤退する。知多工場(愛知県東海市)の該当設備は廃却や売却を予定する。同社は今後、ギアなどの高速精密鍛造製品に型鍛造品事業の経営資源を集中する。山下敏明取締役は「需要の拡大が見込まれるeアクスル向けの鍛造品などにも対応できるようトライしている」と語った。

 同社の21年度の「型鍛造品事業」における売上高比率は、型鍛造製品が25%、ハウジング製品が10%で、高速精密鍛造製品が65%。撤退する製品が同社の売上高に占める割合は最大1・5%程度という。

 同社はこのほど、グループ会社を通じて米エリザベスカーバイドダイ社(ペンシルベニア州)の熱間鍛造金型製造事業の工場設備を約5億円で取得すると発表しており、これまで外注していた金型を社内で手がけることでコスト低減を図り、高速精密鍛造製品の収益拡大を目指す。