テイ・エス テックは、アルプスアルパインと、自動運転時代を見据えて、次世代の車室内空間を提案する「XRキャビン」を共同開発した。リラックスできるシートなど、将来の自動車の車室空間に求められる複数の技術を具現化した。XRキャビンは複数製作しており、今後、北米や中国など、両社の開発拠点に展開して、自動車メーカーの幹部や開発担当者に紹介していく。

 両社は今年1月、「安全で快適、感動を生み出す移動を実現する」次世代の車室内空間を実現するため業務提携した。今回、これを具現化する一環として、テイ・エス テックのシートを中心とする内装品の開発・製造技術と、アルプスアルパインが持つヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)技術を融合して、XRキャビンを共同開発した。

 XRキャビンは、VR(仮想現実)ゴーグルを使用して、シーンに応じたシートアレンジなど、さまざまな機能を体験できる。

 2030年以降の自動運転時代に求められる車室内の技術を想定した。電気自動車(EV)向けに電力消費量を低減する高効率の速暖空調や、デザインと機能を融合したステルススイッチ、ゾーン別のサウンドシステムなどの技術を採用した。「移動が目的だった空間を、心地よく、感動を生み出す空間」にすることを目指した。

 今後、グローバルで自動車メーカーにXRキャビンを本格的に提案していく。「まず興味を持ってもらって、将来のシートのあり方や、どんな使い方が求められるのかを把握し、それを実車に組み込んでいく」(テイ・エス テック・保田真成社長)ことで、次世代車室内空間の事業につなげていく構えだ。