台東初音幼稚園(東京都台東区)の通園バスに実際に機器を取り付けてテストを行った
ブザー解除ボタンについて説明する加藤学社長
専用アプリケーションを通して通知が届く
車内の動きを検知する超音波センサー

 防犯用品などを手掛ける加藤電機(加藤学社長、愛知県半田市)は、通園バスなどでの子どもの車内置き去り事故の防止に取り組んでいる。運転者に後席への注意を促す新たなシステムを開発。このほど東京都内で運用テストを実施した。通園バスの園児置き去り問題をめぐっては、静岡県牧之原市で9月5日に死亡事故が発生。昨年7月にも福岡県中間市で同様の事故が起きており、社会的な関心が高まっている。政府も対策に本腰を入れており、今月招集した臨時国会で安全装置の義務化を審議する計画。同社もいち早く製品化することで、悲惨な事故の抑制につなげる考えだ。

 「二度と痛ましい事故が起こらないように」(加藤社長)―。同社では7日に発売する「ホーネット車内置き去り防止システム」に、置き去り事故の撲滅に向けた思いを込める。このシステムは車両のエンジン停止後にブザーを鳴らすもので、後部にある専用スイッチを操作しないと解除できない仕組みとなっている。

 駐車後に、運転者を後部座席に誘導することで、園児が乗る後部座席の目視確認を促す。機種によっては、センサーによる監視や警報の機能を盛り込むことで、万一の事態が発生した場合も最小限の被害に食い止める考えだ。

 今回発売する置き去り防止システムの構想は、昨年7月からあったという。しかし、9月に発生した死亡事故をきっかけに開発を本格化し、約1週間で完成させた。開発には、同社が実用化した盗難発生警報装置の技術を応用。また、実際に通園バスが使われる環境を意識して設計に取り組んだ。

 例えば、駐車場と園舎の距離が離れたケースも少なくない。センサーで車内に残された園児を検知し、車両から警報音を鳴らしても、園舎の中まで聞こえないことも想定される。このため、警報音と同時に、あらかじめメールアドレスを登録したスマートフォンに、警告する通知を送ることで、異常事態に迅速に対応できるように工夫した。新製品には発売前から数十件の予約注文が入っているが、そのすべてがセンサーによる警報機能を搭載したタイプとなっているという。

 同社のテストに参加した幼稚園関係者などを中心に、好意的に受け止められている。この中で、「ブザー音を音楽に変更できないか」など、幼稚園ならではの意見も寄せられた。同社ではこうした意見や要望を引き続き収集しながら、さらなる改良に取り組む方針だ。

 昨年7月の福岡県での死亡事故では再発防止策において、車内の見回りの徹底など運用面での改善に焦点が当たっていた。しかし、わずか1年後に同様の事故が発生。この教訓が生かされなかったことになる。同社ではデジタル技術の活用によってヒューマンエラーを防止する観点を、今後の製品設計でも重要視していく考え。また、子ども向けだけではなく、高齢者施設などの送迎車両でも同様の事故が起きている。マイカーでの発生も予想されることから、さまざまな用途や場面に対応できる商品づくりに取り組む考えだ。(後藤 弘毅)