現行コペン

 ダイハツ工業は、「コペン」に衝突被害軽減ブレーキを搭載する。軽スポーツカーは、スペースの制約が厳しいため、これまで同社のモデルで唯一、同ブレーキを搭載してこなかった。規制の厳格化や国内市場の縮小を背景に競合モデルが生産を終了する中、継続生産車への搭載が義務化される2025年までに衝突被害軽減ブレーキを搭載し、販売を継続する方針だ。ダイハツはコペンの販売を継続し、モータースポーツなど車の楽しさやブランドの発信に活用する。

 コペンは14年に現行の2代目を投入した軽スポーツカー。2代目では初代をモチーフにしたモデルやモータースポーツに特化したモデルなどバリエーションを拡充し、累計3万5千台以上を販売してきたが、衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化をはじめとする法規対応や収益性を背景に販売終了の可能性があった。

 コペンに同ブレーキを搭載していないのは、同ブレーキに必要となるVSC(車両安定制御システム)の制動力を強化するための機構を搭載するスペースを確保しにくいためだ。軽自動車は全幅と全長の制約があるため、これまではエンジンルーム周辺のスペースを高くしてスペースを確保していたが、エンジンフードの位置が高くなるとスポーツカーとしての走行性能が低下する。ダイハツでは、専用のVSC機構の開発も視野に、法規に対応する考えだ。

 2代目の発売に合わせて展開してきたブランド発信拠点の体制は一部見直す。神奈川県鎌倉市の拠点「コペンローカルベース鎌倉」を6月下旬に閉鎖する一方、同社の本社がある大阪府池田市ダイハツ町に新しい拠点を立ち上げる。具体的な拠点の概要は決まっていないが、コペンを生産する「コペンファクトリー」の機能を拡充するほか、全国の販売会社に約70カ所を展開する専用の情報発信コーナー『コペンサイト』と連携した施策も検討しているという。

 軽のオープンカーをめぐっては、ホンダが「S660」を15年から販売していたが、同ブレーキや衝突安全性の規制対応に見合う収益の確保が難しいと判断し、22年3月に生産を終了した。一方、コペンの21年の販売台数は3453台と前年比で22・1%増加しており、絶対数は少ないものの、足元では販売が伸びている。ダイハツはコペンをフラッグシップモデルとしてブランド力の強化に活用する。