湯川正執行役員

 2022年のテーマに顧客を成功に導くための活動「カスタマーサクセス」を掲げたオークネット。落札店における輸出事業者の存在がますます強くなっている。また、移動による物理的な制約がない外部応札システムの利用が増えてきた。現車会場へ足を運ぶ必要がないため同日開催の競りに同時に参加できるというメリットがある一方で、多くの会場が複数レーンを稼働させているため競り時間が短い分、スピードが速く、仕入れ担当者の負担が増大している。

 オークネットは仕入れ担当者の負担軽減を目的として、自動応札サービス「らくPOS」にグループオーダー機能を追加した。同サービスに落札候補車両をグループ化し、希望落札台数に達するまで自動的に応札できる機能だ。仕入れ担当者は通常業務に従事しながら外部応札システムを利用して複数のAAから同時に応札するなど多忙を極める。同社の湯川正執行役員は「この新たな機能は、会員の皆さまの業務効率化に寄与することができる」と語り、会員に寄り添ったサービスを提供していく方針を示した。

 会員のサポートを担うカスタマーサクセス推進本部のディレクションマネージャーも務める湯川執行役員は「カスタマーサクセスの視線で見ると、もっと落札店に寄り添う必要があると感じた」という。また、これまでに「複数の車両を応札できる仕組みをつくってほしいと会員の皆さまから要望があった」ことからニーズにあった新機能のリリースを検討。そこで生まれたのが「らくPOSグループオーダー」で、10日からサービスを開始した。最大100台を1グループにまとめ、落札したい車両と台数を設定することで、希望の落札台数に達するまで自動で応札する。また、希望台数を落札した後は自動で応札を停止する。さらに、競り前に訂正が入った車両はメールで通知し、訂正内容を確認後、希望があれば再度申し込むことが可能だ。

 同社はこれまでグループ会社でもある中古車検査大手のAIS(後藤博文社長、東京都千代田区)による第三者検査を実施して良質な中古車を流通してきたが、共有在庫市場においては出品店が自主検査した車両も見受けられる。「市場を運営する企業としては購入前の不安を払しょくし、良質な車を提供して商売につなげてもらうことが流通責任を果たすことになる」ため、AISが検査した車両を増やし、安心して落札できる環境を整えていく考えだ。

 創業から37年を迎え、会員のさらなる飛躍をサポートしていこうと「共有在庫市場」の落札料を5月10日から7月31日まで3900円にする「サンキューキャンペーン」を実施している同社。湯川執行役員は「よりよいサービスを提供するためにこれからも会員の皆さまの声に耳を傾けていきたい。中古車流通業のパイオニアとして今後も新しいことにチャレンジしていく」と意気込む。