鋼板のカーボンニュートラル化に取り組む(イメージ)

 日本製鉄は2023年度から製造段階の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにしたカーボンニュートラルスチールの本格供給を開始することを明らかにした。瀬戸内製鉄所広畑地区(兵庫県姫路市)に電炉を新設し、電動車の駆動用モーターなどに使われる電磁鋼板と自動車用鋼板を生産する。電炉で電磁鋼板を生産するのは世界で初めて。年間70万㌧の規模で生産開始し、順次、生産量を増やしていく。

 広畑地区に電炉設備の設置が完了、6月にも試運転を始め、22年下期以降、商業運転に入る。電磁鋼板を電炉で製造するのは世界初の試みとなる。電炉で使用する電気を再生可能エネルギーとすることでカーボンニュートラルスチールを実現する。

 まず既存の電炉サイズで製造し、ノウハウを得た上で高炉並みの生産性を確保するため、電炉の大型化を進める。大型電炉での製造は30年度までの実現を目指し、50年までに品種も拡大する。「技術の最も高いところにいきなり挑戦し、トップランナーに躍り出る」(日鉄・橋本英二社長)ことを狙う。

 同社がカーボンニュートラルスチールを供給するのは製造時のCO2排出量を実質ゼロにした鋼材について「供給を上回る需要があるのは間違いない」(橋本社長)と見ているためだ。

 一方、日鉄は自動車の燃費や電気自動車(EV)の電費改善、航続距離延長につながる軽量化鋼材の需要拡大に対応するため、超高張力鋼板(超ハイテン材)の生産能力を増強すると発表した。約2700億円を投じて名古屋製鉄所(愛知県東海市)に次世代の熱延ラインを新設する。年間生産能力は約600万㌧で、世界最大の耐荷重をもつ圧延機を備える。

 26年4~6月期に稼働する予定。現在の熱延ラインは26年度中に休止する。

 電動車シフトに伴う電磁鋼板の需要拡大に向けて、生産能力も引き上げる。すでに九州製鉄所八幡地区(北九州市戸畑区)と広畑地区に合計1230億円の投資を決めているが、需要拡大とハイグレード化に対応するための追加投資を検討する。特に電動車両用モーターに使われる無方向性電磁鋼板の生産能力を拡充する方針だ。