ロシアへの経済制裁に伴って下落懸念が広がっていた中古車の流通価格が、予測と異なり高値水準が続いている。3月には季節要因も重なり一時的にやや下がったものの、足元では再び上昇基調に入った。3月のロシア向け中古車輸出台数を見ても、前年同月比15・9%減の1万1477台と、依然として1万台を超えるボリュームを維持している。「流通価格への影響はほとんど出ていない」(中古車オークション関係者)との声も目立つ。新車の供給不足の課題解消にもめどが立っておらず、中古車価格の高騰は当面続くとの見方が強くなっている。

 国内の中古車流通の中核を担う中古車オークション(AA)での取引価格は、高いレベルが続く。国内AA出品の4割近くを占める関東地区のAA実績(日刊自動車新聞調べ)をみると、4月18日の週の平均成約金額は78万1千円で、3週連続で前の週を上回った。3月に相場が低下した時は、ロシア向け輸出の停滞が影響して下落したとの見方もあったが、「例年、3月は2月よりも相場が低下する時期」(AA運営会社役員)というように、今年も例年と同様の値動きだったようだ。

 実際足元では、新車の減産で下取り車の発生量が少ない状況が長引き、「小売り向け中古車の引き合いは衰えていない」(メーカー系AA会場責任者)との指摘が少なくない。さらに高値で推移してきた鉄スクラップ価格はさらに急騰し、低年式、過走行車の価格上昇も中古車相場の押し上げに拍車を掛けている。

 こうした状況は、今後も継続するとの見方が強い。一部では、経済制裁の影響でロシア向けの応札が弱くなったとの声もあるが、当初の想定程は落ち込んでいないようだ。輸出台数が減ってはいるが、3月も仕向け地別で2番目に多かった。日本の船会社はロシア行き航路を一時停止したものの、ロシアの船会社が富山県や新潟県など日本海側から400~500台の小ロットでウラジオストクへの輸出を続けていることが要因だ。

 さらに中古車発生量の回復への見通しも不透明感が増している。トヨタ自動車の4~6月生産計画は、「意志ある踊り場」と表現し、年初計画よりも低い水準に組み直した。ホンダも鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の4月と5月上旬の稼働率を当初計画比で5割減になると発表。「レヴォーグ」「フォレスター」「アウトバック」の生産、出荷を4月下旬に一時停止したスバルも、再開までに2カ月半ほど掛かるなど、国内の新車供給回復への道筋は見通せない。未曾有ともいえる中古車価格高騰の出口が見えない状況はしばらく続きそうだ。