電動車いすなどの開発・販売を手掛けるWHILL(ウィル、杉江理社長、東京都品川区)は、新車ディーラーで電動車いすの定期点検やメンテナンスを実施する「ウィル車検」を4月6日に開始すると発表した。まずはホンダカーズ神奈川西(高橋健一社長、相模原市中央区)でスタートし、全国の電動車いす取り扱いディーラーに順次展開する計画。自動車だけでなく、電動車いすの定期入庫も担う受け皿にディーラーを位置付け、幅広い顧客層との接点創出や車いす販売後も収益化できる体制の構築を図る。

 ウィル車検は、電動車いすのボディー状態やタイヤ溝残量などを点検し、修理や部品交換などを行う仕組み。電動車いすを販売するディーラーが入庫先となり、整備士が施工を担う。従来も取り扱いディーラーでは故障発生時の修理対応などを手掛けていたが、普及に伴い「定期点検へのニーズが高まっていた」(ウィル)という。こうした声を受け、自動車向けのアフターサービス同様、定期点検なども盛り込んだサービスとしての展開に踏み切った。

 新サービスを導入するディーラーでは、免許返納者をはじめとする電動車いすのユーザーだけでなく、同伴する子どもや孫世代の定期的な来店も見込める。車いすのメンテナンスを通じた集客拡大につながり、本業の新車販売を含む各種商談に発展できる効果もある。ウィルは今後、ディーラーに対して技術研修を実施するほか、車いす用補修部品の在庫確保などの体制構築も進める。工賃などは各店舗が独自に設定できる仕組みとして柔軟な運用を可能とし、整備ストールの空き時間を活用した収益源としても活用を働きかけていく。

 3月下旬時点でウィルの電動車いすを取り扱うディーラーは67社、店舗数は700拠点超に上る。同社は拠点数を年内に1千カ所に引き上げる目標を示している。