都市部での実用化時期の前倒しを目指す

 経済産業省は、「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けたロードマップ(工程表)を改訂した。新たなロードマップでは、都市部での運航開始時期を2020年代後半以降にするなど従来の工程表よりも前倒ししたほか、機体や運航に関わる基準の整備に関しても要件を明確に示した。30年代に飛行路線を全国で開通することを目指し、官民が一体となって取り組む。

 技術動向などを踏まえ、18年に策定したロードマップを改訂した。新たな工程表では、25年に開催予定の「大阪・関西万博」での有人飛行の実現を前提に、20年代後半から都市部、地方部、離島での商用運航を開始するとした。従来の工程表では、都市部での本格的な実用化は30年代以降としており、実現時期を前倒しした。

 また、機体の安全性に関わる基準作りでは、まずは座席数9席以下の機体で、有人・無人の両方を想定して始める。社会実装を見据え、建物屋上へのポートの設置基準や環境評価方法についても23年度ごろまでに決める。

 技術開発の方向性に関しては、すでに実現しつつある技術を工程表にも盛り込んだ。他のモビリティとの空域共有技術や、機体・部品の性能評価手法の開発に取り組む。

 新たなロードマップは、経産省と国土交通省が18日に開催した「第8回目空の移動革命に向けた官民協議会」で公表された。協議会にはトヨタ自動車やスバルなどが構成員に名を連ねているが、今回新たにホンダなど9社・団体が加わった。