TAA東北会場も一部損傷
ディーラーでも被害を確認
一時接続障害が発生した

 16日深夜に発生した宮城・福島沖地震は、東北地方の自動車流通、アフターサービス業界にも影響が出た。日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)では整備事業者向けのシステムに障害が発生した。トヨタユーゼック(北口武志社長、千葉市美浜区)が運営する中古車オークション「TAA東北会場」(福島県郡山市)でも会場の一部が破損。17日の競りを外部応札だけで開催した。また、東北自動車道が損傷して一部の区間で通行止めになるなどしており、部品や用品の小売店などからは今後の商品物流に支障が出ないか、心配する声も広がっている。

 日整連では17日朝、オンライン整備情報提供システム「ファイネス」の接続障害を確認した。原因は不明だが、東北だけでなく関東でも起こった大規模な停電によるものと想定される。ファイネスは1日2万件(2月実績)ほどの利用があり、整備事業者の業務に深く関わっている。日整連ではすぐに対応に着手し、同日午前11時までにすべてのシステムを復旧させた。また、17日午前の段階で被災地域の会員工場の被害状況については確認中とした。

 毎週木曜日がAA開催日のTAA東北会場は、天井の一部が損傷した。これを受け、会員の安全を確保するため、会場での競り開催を断念。外部応札が出来るインターネットサービス「TCウェブシグマ」の手数料を、会場内参加と同額にして対応した。トヨタユーゼックでは会場の安全を確認でき次第、通常の開催に戻すという。同じく、木曜開催の福島県中古自動車販売商工組合(JU福島、橋本一男理事長)は通常通り開催した。

 新車ディーラーの店舗でも被害が確認された。ヤナセは一部の店舗で壁にヒビが入るなどの損傷があったほか、車両同士が接触し軽微な傷が付いたという。しかし、営業に支障はなく、全店通常通り開店した。中古車販売のネクステージも一部の店舗で壁の破損を確認した。

 オートバックスセブンは一部の店舗で、商品が落下するなどの被害が発生。営業を見合わせる店舗も出た。イエローハットは被害を調査中(17日午前時点)だが、「交通網の混乱から、物流への影響が懸念される」(広報担当者)としている。

 東北地方の太平洋側にある自動車リサイクル工場では、地震により倉庫内の部品が落下するなどしたものの、工場自体の稼働に対する目立った影響は発生していない模様。17日午前の段階では細かな被害状況が判明していないが、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合(小林信夫理事長、東京都港区)の担当者は「工場の稼働に影響があるかどうかを含め、会員企業が受けた被害の全体像を確認している」と話している。

 地震発生を受け、損害保険各社も16日から17日にかけて本社などに対策拠点を立ち上げた。東京海上日動火災保険は事故受付のコールセンターへの連絡が増えていることを受け、同センターのスタッフの増員を予定している。三井住友海上火災保険は被害状況の立ち合い調査でリモートも活用するなどし、迅速な保険金支払いにつなげる予定だ。