防災用品の企画開発を手がけるファシル(八木法明社長、静岡市駿河区)は、地域貢献型防災用品の災害用備蓄スタンド「BISTA(ビスタ)」を新しい備蓄のカタチとして提案する。最大50人分の災害備蓄を可能とし、自分のための“自助”の備えだけでなく、誰かと助け合う“共助”の備えの普及を目指す。

 多くの企業で食料はすでに備蓄されているため、あえて水や非常食はセット内容に含めず、そのほかで誰もが必要とする製品を厳選した。1段目には、携帯電話を10台同時に充電可能な災害用充電器やカセットボンベ式発電機、カセットボンベやコンロ、延長コードを備える。2段目に感染症対策品や長期保存カイロ、使い捨て携帯トイレやトイレットペーパー、緊急用ホイッスル、3段目には使い捨て簡易ライトや静音アルミポンチョ、LEDランタン、防塵マスクや伝言ホワイトボードなどを配備した。DCP(大規模災害が発生した際に地域全体で連携して助け合うための方法を策定するという考え方)の観点での活用を想定したオールインワンセットになっている。たとえば、災害用充電器を帰宅困難者の支援拠点として地域に提供したり、50人分の災害用品を帰宅支援物資として配布したり、専用の箱に備蓄品がまとまっているため、緊急支援物資として災害発生時に即座に被災地へ発送することもできる。

 さまざまな空間に溶け込む、普段から目につく場所に置いても違和感がないデザインも特徴のひとつだ。ロビーやエントランスなど人々が行き交う場所に設置することで“非日常の防災”が“日常の防災”になり、普段から防災を意識してもらうことが狙い。

 同製品の導入はBCP(事業継続計画)対策の一環としての取り組みにもなる。また、自分たちだけではなく、不特定多数にも備蓄品が活用できる工夫がされており、「これからの防災は誰かのためにシェアするという観点が求められている」と八木社長は共助の考えの重要性を説く。同社では、今後も防災用品の開発を通じて新しい防災のカタチのアピールに力を入れていく考えだ。