国やブランドの違いが明確な輸入車のコンパクトカー
電動ソフトトップを備えるフィアット500C
デザイン性の高い内装も魅力の一つ
評価の分かれた2気筒の「ツインエア」
オープンドライブと実用性を両立した
「ひげ」のような個性的な顔立ちのMINIクーパーD
試乗車はグラデーションカラーのルーフを装備していた
お洒落な色使いの内装はMINIの魅力
欧州コンパクトカーの王道といえるルーテシアは走行性能と実用性の高さがポイント
外観はキープコンセプトでも内装の質感を大幅に高めた新型ルーテシア
個性的なデザインのDS3クロスバック
細部のディティールにもこだわりを感じる
強烈な個性が売りの内装。いたるところに「ひし形」が用いられる

日本自動車輸入組合(JAIA、クリスチャン・ヴィードマン理事長)が開いた「JAIA輸入車試乗会」。一度にさまざまな輸入車を体験できる貴重なイベントに若手記者が参加した。取材でも普段はあまり乗る機会のない最新の輸入車は、今どきの若者にどのように映ったのか。テーマごとに率直な意見を聞いてみた。

乗り手を選ぶ「フィアット500C」

電子版編集長(編)「今回の試乗ではコンパクトカーが多かったけど、どのクルマが印象に残った?」

部品メーカー担当女性記者F「今回の試乗会で、一番の目当てがフィアット500C(ツインエア)。とにかく丸っこいデザインが可愛いので一度乗ってみたかった。本当に可愛くて乗るだけでテンションが上がるけど、見た目と違って、運転するとすごく癖が強くて乗りにくい。アクセル踏むとギクシャクしてぎこちないし、エンジンはすごくうるさい。あと、とにかく車内が揺れる。長時間の運転はちょっと無理かな」

輸入車担当男性記者U「2気筒エンジン独特の振動や駆動音は強烈だよね。アイドリング中にルームミラーが常に振動していて、後方をまともに視認できないし。独自のトランスミッション(機械式自動変速機)も坂道だとアクセルワークに気を遣うから、決して乗りやすいクルマではないね。でも、趣味性の高いクルマとして個性は光っている」

カー用品担当男性記者M「500Cは楽しかった。2気筒エンジンのバラバラとした走りと、屋根を開けたときの解放感は、バイクのようで楽しい。エンジンのフィーリングも想像以上に良いし、パワーも必要十分。クリープ現象がないトランスミッションも、慣れればアクセル操作だけで意図した変速もできるし。小回りが利いて、手足のように走り回ることができて、とにかく軽快。まあ、エンジンの振動は我慢が必要かもしれないね」

F「実際に乗ってみて、500を運転する男性をよく見かける意味がわかった。乗り手を選ぶクルマ。見た目重視で買うと、後で後悔するか、クルマ好きになるかの二択だと思う。あと、屋根って開ける必要あります?うるさくて喋れないし、髪の毛ぐちゃぐちゃになるし…」

U「屋根を開けてドライブすると爽快で気持ちいいけど」

F「男の子は楽しめるかもしれないけど、女子はオープンカーって苦手な人も少なくないと思うよ」

編「まあ、そこは好みということで…」

5ドアだけど狭い「MINI」。ディーゼルは好印象

F「ミニ『クーパーD』はお洒落で、とても気に入った。デザインは可愛いけど、シンプルだから男性でも抵抗なく乗れるのでは。人生初のディーゼル車だったけど、運転している感があって楽しい。でもそこまでうるさいわけではなく、車体も大きくないので女性でも運転しやすいと思う」

M「外装も内装も個性的だね。3気筒のディーゼルも、トルクが太く、低回転時の粘り強さがいかにもディーゼルだけど、特有のガラガラ音も大きくなくて良かった。コンパクトで普段使いにも困らないボディーサイズだけど、デザイン重視のためか、頭上が狭い。ラゲッジスペースも普段使いでは十分だけど、旅行に行くとなるとやや狭いかも」

U「5ドアだけど、後席の居住性やリアドアの開口部はちょっと無理があるよね。成人男性だと厳しい。それと、個人的には現行型のフロントグリル周りのデザインが苦手。『カールおじさん』みたいで、かっこいいとは思えない」

編「そう言われると似ているかも。リアドアは、あると使い勝手がいいんだよね。3ドアってどうしても不便だから、利便性が重視される日本では不人気だし。フル4シーターで使うなら『クロスオーバー』を選ぶべき」

印象は薄いが、完成度の高い「ルーテシア」

M「なかなか良かったのがルノー『ルーテシア』。パワーもあるし、軽快な走りだったと思う。ボディー剛性も高く、コーナリングのしなりも感じさせないハンドリングもいいし、かなりしっかりとしたクルマという印象。不満な点はないけど、強いて言えば個性が薄いように感じた」

U「国産車みたいな合理的な内装で、チープさもないところは好印象だね。Bコンパクトセグメントでも、ミニや『DS3』より後席も広いし。走りは至って普通のガソリン車って感じかな」

F「運転した感覚は国産車と変わりない印象だったかな」

ひし形ではない「DS3」

編「EVの『DS3クロスバック』はどうだった?」

F「インテリアのデザインがとにかく独特。ディスプレイやダッシュボード、ドアトリム、スイッチなど、あらゆる部分が『ひし形のお餅』みたいなデザインで、こだわりは伝わる。でも、好き嫌いは分かれるかな」

編「ひし形のお餅?」

U「資料によると、ひし形ではなく『クル・ド・パリ』というパリの伝統文様だそうです…」

M「好みは分かれると思うけど、個人的には外観などプレスラインの造形などにこだわりを感じて良かったね。デザインに振っているから、エアコンやハザードなどの操作系は目視で確認しないと誤操作してしまいそうだけど」

F「ひし形は好みじゃないけど、個性があるのはとても良い。輸入車は万人受けする必要はないと思う」

(日曜に掲載します)