上場している国内の自動車材料を手がける化学・繊維メーカー大手12社の業績に、自動車メーカーで相次ぐ減産の影響度合いが増している。化学メーカーの今期業績は想定以上に回復してきたものの、先行き不透明なことから通期見通しを前回公表値に据え置く企業が相次いだ。繊維メーカー3社は原料高による価格転嫁分を上乗せしたことなどから売上高を上方修正した。22年1~3月期も半導体不足などの影響による自動車の減産が続いており、化学・繊維メーカー各社の業績回復の足かせとなっている。

 化学9社のうち、21年4~12月期業績発表時に通期業績見通しを据え置いたのは三菱ケミカルホールディングス(HD)、住友化学、旭化成、三井化学、宇部興産の5社。4~12月期業績は、各社ともにコロナ禍で需要が減退した前年同期に比べて自動車向けの需要が回復していることなどから積水化学を除く8社が増収増益で、全体的に予想を上回るペースで業績が回復している。

 ただ、日系自動車メーカー各社は昨年末ごろから減産分をカバーするための挽回生産に入る予定だったが、依然として半導体をはじめとする部品不足が続いており、1月以降も生産調整している。

 三菱ケミカルの伊達英文CFOは「11月発表の予想からはセグメント営業利益が落ち気味になっている」としており、自動車向け需要のマイナス影響を懸念する。宇部興産は自動車の減産で、ナイロンコンポジットやリチウムイオン電池向けのセパレーターが影響を受けているという。「影響度合いとしては軽微」(藤井正幸常務執行役員)ながら先行きの不透明感が増している。旭化成は自動車関連を含めて「各事業に波がある」(工藤幸四郎取締役)ことから、予想が困難となり、業績見通しを前回予想に据え置いた。

 JSPは業績予想を前回予想から引き下げた。部品の物流停滞などで工業や住宅、建築分野の販売が影響を受けるとして売上高を前回公表値から10億円減、営業利益を5億円減それぞれ下方修正した。

 繊維各社は原料高による価格転嫁を進めており、その分の売上高を上積みする。

 東レはABS樹脂などの機能性化成品でのスプレッド(価格差)が解消するほか、炭素繊維複合材料の値上げなどの効果を見込む。ただ、自動車の減産影響でエアバッグ用基布などを手がける事業が想定を下回る見込みで、繊維セグメントの売上高、営業利益を下方修正した。

 東洋紡のモビリティセグメントは前年同期の水準が低く、エアバッグ用基布の販売量も回復している。しかし、原料価格高騰による値上げが遅れていることに加え、自動車の減産の影響もあって22年1~3月期の業績は厳しく見ている。