日野が開発した「デュトロZ EV」のシステムレイアウト

 国内商用車メーカー2社が異なるアプローチで電気小型トラック市場に参入する。日野自動車は電気自動車(EV)用プラットフォームを開発、ウォークスルータイプの小型電気トラックを2022年夏に市場投入する。いすゞ自動車はEVへの適用を見据えた汎用プラットフォームでEV市場へ22年に参入する。プロペラシャフトが不要なため、車室内を平面化できるEVならではの特徴を生かすことを重視する日野。これに対していすゞは架装に幅広く対応することや、車両価格を重視する。電気小型トラックの価格や使い勝手にどう影響するのか、電気小型トラックの開発競争が激化している。

 日野は電気小型トラック「デュトロZ EV」に前輪駆動の専用プラットフォームを開発した。プロペラシャフトをなくし、床面に電池を敷き詰めたことで車室内の床面を平面化と低床化する。内燃機関の小型トラックの床面地上高は800㍉㍍程度。電気小型トラックはその半分の400㍉㍍となる。1日に100回程度の乗り降りを繰り返す宅配ドライバーの負荷を軽減するとともに、運転席から荷室へ降車せずに移動できる。日野は宅配便最大手のヤマト運輸と半年間にわたって実証走行し、検証結果を反映した量産車を22年夏に投入する予定だ。

 日野が開発投資が膨らむEV専用プラットフォームを開発したのは、運送事業者が直面する人材不足と環境対応という2つの課題にEVの特徴を最大限に生かして対応するためだ。ドライバーの負荷軽減と事業者の脱炭素化を支援する。

 EV専用プラットフォームを開発する日野に対して、いすゞはディーゼル車にも使用する新開発のプラットフォームをベースとする。トラックは一つの車台で多いものでは2千種類の用途で使用される。汎用のプラットフォームをベースにすることで、幅広い業種でEVを選択できるようにするとともに、電動化に伴うコストを抑制する。

 いすゞは昨年、ヤマト運輸とウォークスルータイプの電気小型トラックのモニター実証を実施した。一方で、カーボンニュートラル社会実現に向けた機運の高まりで、宅配事業者以外でも電動車両への関心は高まっている。商用車を活用する幅広い業種の脱炭素化ニーズに対応するため、汎用性のある電気小型トラックを投入する。

 電気小型トラックは三菱ふそうトラック・バスが「eキャンター」をリース販売で先行している。使い勝手を重視して専用プラットフォームを採用する日野、多くの業種に対応するとともに、価格を抑えるために汎用のプラットフォームを活用するいすゞの22年の市場参入によって、電気小型トラックの選択肢が広がる。

 どの電気小型トラックが評価されるのか、22年の販売動向が注目される。