Vayyarの二輪車運転支援システム(ARAS)向け4Dイメージングレーダーチップ
Vayyar製ARASの作動イメージ

 先進運転支援システムで実績のあるイスラエルのイメージングセンサー企業、Vayyar(バイアー)は、業界初で唯一という二輪車向けの量産4Dイメージングレーダーを、2022年初頭にも発売する。世界的な都市化の加速にパンデミックによる宅配便経済の拡大などが重なり、盛り上がりを見せる二輪車需要の波をとらえたいバイクメーカーをはじめ、二輪車の事故増加傾向に対する歯止めが急務となっている自動車産業にとっても期待の新製品と言えそうだ。二輪ライダーに新世代の安全性を提供し、世界各地域の事故を低減させ、二輪車市場の持続的発展への寄与も見込めるVayyarの先進テクノロジーに注目した。

機能やコスト、あらゆる面でバイク向けに最適化
総合的な性能バランスにおいて最高のパフォーマンスを発揮

 Vayyarは4Dイメージングレーダーについて「LiDARや超音波、ToFレーダーといった他のカテゴリーのセンサーと比べて、さまざまな気象条件下での堅牢性やコストなどの総合的な性能バランスにおいて、最も高いパフォーマンスを発揮できる」とし、今回の二輪車向け先進運転支援システム(ARAS)の新製品もシングルプラットフォーム上で比類ない多機能性を備え、広範囲のアプリケーションを同時にサポートできるという。具体的な特性は次に挙げる通り。

■ 140m(300mまで適応可能)の範囲まで、すべての静的・動的ターゲットを追跡し、ライダーはタイムリーな警告と信頼性のある予防措置を享受できる。

■ 76-81GHzのプラットフォーム、75×65mmの小型PCB基板にすべてのRFアナログおよびデジタル回路機能を統合。最大46のTx/Rxポートにより、4Dポイントクラウドデータを介した超高解像度イメージングが可能となる。組み込まれる信号処理には、路面からの信号除去フィルター、傾斜角の減算フィルター、車線軌道計算のための回転半径推定などが含まれる。

■ 最大170度の方位角と仰角を可能にするアンテナ設計を備え、独自の機能を持つ2つのセンサーをバイクの前面と背面にそれぞれ配置することでバイク周囲を360度カバー。正確な奥行き検知と障害物の高さ検出の機能も有し、車線変更アシスト、衝突警告、高機能クルーズコントロール、ブレーキアシストなどのアプリケーションを可能にする。

■ 車載グレードのRFICシステムはAEC-Q100およびASIL-Bに準拠しており、無線を通じたシステムアップデートもサポート。二輪完成車メーカーやティア1は、完全なリファレンスデザイン、組み込みアルゴリズム、およびARASに最適化されたソフトウェアを活用することで、新しいアプリケーションを迅速に開発できる。

Vayyarについて

 2011年にイスラエルで設立され、4Dイメージセンサーおよびレーダーイメージングシステムを開発・販売する。製品展開としては、モジュールや完成品(センサー)など上位レイヤーまでラインアップし、さまざまな形態のソリューションを提供。設立当初はマンモグラフィー検査の簡易化に関する開発を主事業としていた。現在では、ホームIoT、セキュリティ関連、小売り(在庫管理、動線検知など)、生産ラインでのテスト装置、オートモーティブ分野など幅広い用途、多様なアプリケーションで利用されている。