トヨタ自動車とパナソニックは15日、指先の裂傷度合いを評価する「指ダミー」を開発したと発表した。ロボットアームや設備、治具などに指先を挟み込む危険性やけがの程度を現場で可視化できる。製造現場の安全性向上に役立つとして販売する。

 パナソニックはもともと「プロダクト解析センター」で人体の安全技術を研究しており、人の上腕部を模擬し、皮膚や皮下組織、骨などに圧力センサーを組み込んで痛みを数値化する「ペインセンシングダミー」などを持つ。こうした解析技術を知ったトヨタの打診を受け、3年前から共同で開発してきた。

 指ダミーはパナソニックのノウハウに加え、豚の皮膚を使った実験で人の指と同じ程度の裂傷強度を持たせた軟材料や骨を模擬した芯棒で構成する。設備などに挟み込むことで、指先がどの程度のけがを負うかを確認できる。設備の安全対策に加え、製造現場で人と働く「協働ロボット」の評価にも活用できる。

 協働ロボットの安全規格には「ISO TS15066」などもあるが、規格が定義する接触面積が広く、今回のような指の挟み込みを想定した評価には役立たないという。両社は、製造現場で手軽に設備やロボットの危険性を確認できるツールとして普及させたい考えだ。価格は1セット6万6千円(消費税込み)。