販売現場では人気車の長納期化が避けられない状態(写真はイメージ)

 国内生産の大幅な減産による新車の長納期化で販売現場が混乱している。多くの自動車メーカーは今秋に半導体不足が解消し納期に一定のめどがつく見通しを示していたが、新型コロナウイルス感染拡大が深刻化する東南アジアからの部品調達の滞りによる国内の大幅減産で、納期のさらなる長期化に直面している。一部のディーラーでは納車待ちの顧客にレンタカーを無料で貸し出すなど知恵を絞るが、生産の回復見通しが立たない中で対応に追われる状況は続きそうだ。

 自動車メーカー各社は半導体不足の影響が今夏にピークを迎え、下期の挽回生産を計画していた。主力コンパクト「ノート」などが納期が長期化している日産自動車は、系列ディーラーに「半導体の解消で納期のめどがついた」と一時は伝えたものの、東南アジアからの部品調達難で夏ごろから再び納期が不透明になった。系列ディーラーによると、現時点でノートの納期はグレードによるが2~3カ月程度、新型車の「ノートオーラ」で来年以降となる見通しだ。

 8~9月の国内生産台数が当初計画から6割減となるホンダは、減産影響による納期長期化を受けて工場出荷めどをホームページで公表している。10月上旬の減産は3割減程度にとみるが、SUVの新型「ヴェゼル」はグレードによって納期が1年以上となる。トヨタ自動車も10月に全工場の稼働を一時停止する大規模減産に踏み切り、新型車の「カローラクロス」をはじめ受注が集中している人気車の長納期化が避けられない状態だ。

 販売現場ではこうした状況に備えて代替提案の時期を早めるなどの対応を進めてきたが、長納期化が常態化する中で対応に追われている。多くのディーラーが頭を抱えているのが、代替客の下取り車の扱いだ。納期遅れで下取り車の価格が変化してしまうので、ある日産系列のディーラーでは新車が納車される前に車両を下取することを条件にレンタカーを無料で貸し出している。同様の取り組みは複数のディーラーで確認できるが、それぞれに顧客をつなぎとめるために工夫を凝らす。

 一部のディーラーでは、顧客対応のみならず営業スタッフのモチベーション維持にも策を練る。社内キャンペーンの評価基準を登録ベースから受注ベースに切り替え、厳しい環境下でも受注の積み上げを図っている。