日本自動車会館(東京都港区)を拠点として業務にあたる自動車業界の団体職員・企業とその関係先を対象にした新型コロナワクチンの職域接種が11日、同会館で始まった。日本自動車会議所(内山田竹志会長)と日本自動車連盟(JAF、藤井一裕会長)が6月から準備を続けてきた。この間、ワクチン供給の停滞など、職域接種を巡る環境は二転三転し、実施に向けた作業は難航したが、きめ細かい交渉と調整を続けて実施にこぎつけた。
第1回の接種は11日から14日までで、2回目は10月中旬に終了する。60を超える団体・企業の1千人が申し込んでいる。初日は290人、12日は210人がワクチン接種を受けた。
自動車会館での職域接種は、国が公表した計画に沿い、6月に申請。当初は7月末に実施する予定だった。しかし、ワクチンの供給不足などにより、実施計画は2度にわたって変更を余儀なくされた。大規模会場や自治体による接種もスタートしていたが、予約の集中や地域差などもあり、若年層や小規模事業所などの人たちが、希望しても速やかに接種を受けられない状況が続いていた。
職域接種は1千人以上が対象。自動車会議所とJAFは、個人の接種意思を尊重して強制することのないように、同時に、確保したワクチンを無駄にすることがないように心がけ、きめ細かく予約・調整を行った。滞りがちな国からの情報に分析を加え、接種を希望する企業・団体の人たちと情報共有を心がけた。JAFの予約決済システム「e―JAF」システムを活用して個人単位で予約を受け付け、希望者の増減をリアルタイムで把握することに努めた。
「自動車関係団体・企業が力を合わせて職員やお客さまの安心・安全を守るため、職域ワクチン接種を何とか実現したいと進めてきた」と日本自動車会議所の山岡正博専務理事。医療関係者の手配、会場設営などを粘り強く対応したJAFや、接種人数の確保に努めた業界団体の協力など、職域接種の実現に向けて、自動車業界が協力を重ねたことを重視。「こうした活動を通し、自動車産業で働く550万人が力を一つにして、コロナ禍に立ち向かっていく」と話している。