会見する豊田会長

 日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は9日、オンライン会見でカーボンニュートラル実現に向け自動車産業が直面する課題を10月に提示する方針を明らかにした。国内で自動車を生産するために必要なエネルギー量や二酸化炭素(CO2)排出量を整理し、脱炭素実現に必要な投資や研究開発費を算出し、国内生産1千万台を維持するための課題を示す。豊田会長は「カーボンニュートラルの出発点であるエネルギー政策について、自動車産業はペースメーカーとして行動していく」と強調した。

 会見で豊田会長は、11月に開催の「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」に向けて各国政府が示す電動化目標について「出口として車の選択肢を狭める動きも出てきた。敵はあくまで『炭素』であり内燃機関ではない」と指摘。自動車の走行中のCO2総排出量が過去20年間で米国やドイツが増加しているのに対し、日本ではハイブリッド車(HV)がいち早く普及したことで23%削減していることを例に挙げ、「今ある電動車を使ってCO2を最大限に減らすことが大事」と述べた。

 日本の基幹産業として雇用の維持についても言及した。豊田会長はこれまでも、火力発電が主力となる現在のエネルギー事情では国内生産約1千万台の半分を担う輸出向けの競争力が低下する懸念を示してきた。これに加え、HVも含む内燃機関車が国内で生産できなくなった場合、「われわれの試算だと30年断面でEVや燃料電池車(FCV)の生産は200万台にも満たない。つまり800万台以上の生産が失われる」と指摘し、欧州などの〝脱ガソリン〟の政策が国内では大きな雇用喪失につながるとした。

 また、一部で豊田会長が2024年5月まで任期を延長する方針を報じられた件について、「まだ決まっていない」と話した。豊田会長は12~14年に続き、18年5月に2度目の会長に就任。自工会会長職はこれまで任期1期2年でトヨタ、ホンダ、日産自動車で交代することが慣例となっていたが、当時20年に開催予定だった東京モーターショーなどを〝豊田自工会体制〟で対応するため会長任期を延長し、現在2期目を務めている経緯がある。