レクサス高輪

 トヨタ系列の新車ディーラーで不正車検が相次ぎ発覚し、トヨタ自動車を中心に再発防止に向けた対策を進めている。3月にはネッツトヨタ愛知(平光順二社長)で不正が発覚したことを受けて各販社で自主点検を実施。しかしその後、運輸当局の監査によって直営販社のトヨタモビリティ東京(TM東京、関島誠一社長)での不正が発覚した。トヨタは約200人を動員して各販社での法令違反に対する調査を実施したが、さらに人員を倍増して全国4600工場への実態調査に乗り出し、月内にも終える計画だ。自動車検査(車検)の8割近くを占める指定整備制度の根幹を揺るがしかねない問題だけに、抜本的な再発防止策が急がれる。

 「自社でも不正が行われていないとは言い切れない」―。ネッツ愛知の不正車検を機に法令違反に対する自社点検を終えたディーラーからも、こうした不安の声が上がる。TM東京のレクサス高輪(東京都港区)で発覚した不正車検は自主点検を終えた6月、通告を受けた関東運輸局の監査によって不正が見つかった。

 国から認可を受けた指定整備工場では、自動車検査員は民間人でありながら国家公務員と同等の仕事を行う。検査員が不正に手を染めるのは許されない行為だが、トヨタでは慢性的なメカニック不足と業務量の増加などが不正の引き金になったと説明する。ただ、不正が起こった背景は、整備業界全体で直面する根深い問題でもある。整備業界関係者は今回の不正について「メンテナンスパックやクレーム、リコールの対応で業務が手いっぱいで、肝心要の車検がないがしろになっていたのではないのか」と指摘する。

 ネッツ愛知の不正については、同社で行っていた短時間車検において時間の制約が不正を誘発したと指摘されている。短時間車検は1995年に車検制度が改正され「前車検後整備」が可能となり、ユーザーが指定整備工場に持ち込んで短時間で車検を済ませたい消費者のニーズに対応してきた。レクサス高輪では、短時間車検が要因ではなかったものの、「予定の時間で仕上げることを最優先にした」(関島社長)ことが不正を誘発した。ただ、トヨタでは効率的に検査を行う短時間車検そのものは否定せず、運用方法に問題があったとして不正を防ぐ方法を模索する。

 車検整備をめぐっては、トヨタに限らずディーラー、専業を問わず不正が後を絶たない。不正改造車やペーパー車検など悪質なケースは少なくなったが、検査員の意識の低さや日々の業務過多によって引き起こされる不正が目立つ。ただ、メカニック不足が常態化している整備業界において人材不足の解決は容易ではない。トヨタでは「不正が起こらざるを得なかった背景まで聞き取りを進める」(佐藤康彦国内販売事業本部長)方針だが、経営者をはじめとした従業員の意識改革や働く環境の整備など根本的な改善が必要だ。