トヨタ自動車は20日、直営販売会社のトヨタモビリティ東京(TM東京、関島誠一社長)で不正車検が発覚したと発表した。レクサス高輪(東京都港区)で行った車検において過去2年間で全体の3分の1に当たる565台について基準値に満たすよう数値の書き換えや一部の検査を行わないといった不正を行った。トヨタの系列販売店では、3月にネッツトヨタ愛知(平光順二社長)で車検不正が発生したばかり。相次ぐ不正の発覚で、信頼回復に向けたオールトヨタでの対策が急がれる。

 20日、オンラインで会見を開き、TM東京の関島社長は不正が起こった背景について「増加する仕事量に対して人員と設備が追い付いていなかった。また、慢性的に時間内に作業を終わらせることを最優先にしてきた」ことの2点を挙げた。

 不正は、ヘッドライトの明るさやパーキングブレーキの効きなどについて基準値への書き換え、スピードメーターの精度について検査を実施していないなど5つの検査項目に及んだ。不正に関与した検査員は4人。対象車は現時点で事故や不具合の発生は確認されていないが、改めて再検査を無償で実施する。

 再発防止対策として、人員の増強やサービス機器の更新を進めるとともに、作業に必要な追加時間などをユーザーにしっかり説明できるよう店舗業務を見直していく方針だ。

 3月にネッツ愛知で車検不正が発覚して以降、トヨタでは同様の事案が発生していないか、全国のディーラーを対象に実態調査を行ってきた。こうした活動の最中、TM東京で起こった不正は関東運輸局の指摘で発覚した。トヨタの国内販売事業本部の佐藤康彦本部長は「メーカーの責任であると痛感している」と述べ、全国約4600工場を対象に調査を進めていく方針を示した。