ステランティスのタバレスCEO
新たに開発するEV用プラットフォーム

 スモールカーから高級スポーツモデルまで、14ブランドを展開するステランティスは8日(現地時間)、2025年までに電動車関連で約300億 ユーロ (3兆9千億円)を投資する戦略を発表した。新たにグループ横断で活用する4種の電気自動車(EV)用プラットフォームを開発してフルラインでEVを取り揃える。欧米5カ所にバッテリー工場を建設し、30年までに最大260㌐㍗時の生産能力を確保する。バッテリーのコストダウンにも取り組み、26年までに所有コストをガソリン車並みとする。直近ではルノーが今後5年間で電動化に100億 ユーロ (1兆3千億円)投資する計画を打ち出すなど、自動車産業は電動化にまっしぐらの様相だ。

 電動化に向けたロードマップを示すオンラインイベント「ステランティスEVデイ2021」で、ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は「全速力で電動化を進める」と、14ある全ブランドにEVを投入する方針を示した。

 今年1月にフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが合併して発足したステランティスは、統合によるスケールメリットを生かすことで5年間で4兆円近い規模の電動化関連投資を生み出す。投資回収効率で業界平均を3割上回ることを目指す。

 新たに開発するEV用プラットフォームは、自動車のサイズと航続距離に合わせた大・中・小の3種と、フレームボディー用の計4種を展開する。パワートレインは搭載位置の異なる3種のエレクトリック・ドライブ・モジュール(EDM)を用意、前輪、後輪、全輪それぞれの駆動方式を実現できる。また、プラグインハイブリッド車(PHV)の「4xe」にも対応する。これによって14ブランドで電動車を展開する。

 電池は欧米5カ所に「ギガファクトリー」を設置する計画。電池メーカーからの調達と合わせて25年までに130㌐㍗時、30年までに260㌐㍗時を確保する。24年までに高密度・高エネルギータイプとニッケル・コバルトフリーのバッテリーを開発してバッテリーコストを20年比で4割以上低減し、30年までにはさらに2割引き下げる計画。次世代電池とされる全固体電池も26年に実用化する計画だ。

 EVやPHVなどの電動車販売比率を30年までに欧州で7割以上、米国で4割以上とする。電動車のうち、8割がEVとなる。ブランド別では小型車が主力のオペルを、28年までにEV専用ブランドとする方針だ。

 今回の投資計画にはソフトウエア関連を含む。プラットフォームやパワートレインを集約しつつ、ブランドの個性を打ち出すため、ソフトウエアを自社で手がける。ソフトウエアをアップデートすることで機能を追加していくモデルを展開する。

 カーボンニュートラル社会の実現に向けた機運が高まる中、自動車各社はEVシフトを鮮明にしており、各社が開発投資をEV関連に集中させている。背景にあるのが、内燃機関からEVへの移行が想定よりも早いペースで加速し、これに出遅れると市場で埋没しかねないとの危機感だ。工場を持たないメーカー(ファブレス)のアップルや、水平分業に強い鴻海精密工業、ソニーなど、噂されるIT関連の異業種のEV参入によって業界は大変革期を迎える可能性も指摘されるだけに、自動車各社はEVシフトに本腰を入れている。