ステランティスは、2021年1月にフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAの経営統合によって誕生した新会社です。両社を合わせた世界販売台数をコロナ禍の影響がなかった19年時点でみると789万台で、トヨタ自動車グループ、フォルクスワーゲングループ、ルノー・日産自動車・三菱自動車連合に次ぐ世界4位の規模となります。

 最高経営責任者(CEO)には旧PSAのカルロス・タバレスCEO、会長には旧FCAのジョン・エルカン会長が就任しました。社名は「星で輝く」という意味のラテン語「ステロ」が由来です。

 統合の狙いは、自動車業界で加速する電動化や自動運転技術の研究開発力の向上と、投資の効率化です。プラットフォームの共通化や共同購買によって、年間50億 ユーロ (約6千億円)のシナジーが創出できると見積もります。

 企業合併では、効率化を目的とした事業再編によって工場や営業拠点などを閉鎖するケースがあります。しかし、ステランティスは既存工場すべてを存続する考えを示しました。

 製品ラインアップは、FCAの9ブランド、PSAの5ブランドを受け継ぎ、全14ブランドを展開しています。フィアットやプジョー、シトロエン、オペルなどの大衆車・ミドルクラスから、アルファロメオやマセラティ、DSなどの高級車、SUVのジープなど幅広い車種をそろえることが特徴です。

 FCAとPSAの遺産を受け継ぎ欧州や北米、中南米で一定の販売シェアを確保しています。しかし、合併前から世界戦略で重要な中国、アジア圏が空白地帯だったため、その攻略が事業拡大の課題になります。

 電動化については、現在の電動車のラインアップ29モデルに加えて、年内には10モデルを投入する計画です。25年度までには、新規投入するすべてのモデルに電動車を設定し、電動車への対応を加速する方針です。