マツダの全方位での環境戦略が2022年以降、本格化する。燃料電池車を除く幅広い電動パワートレインを用意し、規制や市場の状況に合わせて「最適なモデル」を展開する。カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを迫られる自動車メーカーが、アライアンスを活用した「選択と集中」による電動化戦略を進める中、スモールプレーヤーであるマツダだけがトヨタ自動車並みの全方位での環境戦略を描く。これまで蓄積してきた開発・生産効率化の取り組みの成果が問われる。

 マツダは17日の技術説明会で、22年から25年までの4年間に電気自動車(EV)を3車種、プラグインハイブリッド車(PHV)とストロングハイブリッド車(HV)をそれぞれ5車種投入すると発表。これまで他社に出遅れていると言われてきた電動車の具体的な商品投入計画を示した。25年までは既存のプラットフォームを活用したEVを投入するが、その後は自社開発のEV専用プラットフォームも展開していく。

 一方で、ディーゼルエンジンやガソリン車も48㌾マイルドハイブリッドシステムを活用して電動車として存続させる方針で、内燃機関へのこだわりも続ける。独自技術であるロータリーエンジンも活用するほか、将来的には合成燃料や水素燃料の活用も視野に入れるなど、ほぼフルラインアップで環境対応車を展開する方針を示した。

 これに対して、ホンダはゼネラル・モーターズ(GM)とEV分野で連携するとともに、40年に新車販売のすべてをEVとFCVのみとして、HVを含めて内燃機関からの撤退を宣言。日産自動車、三菱自動車、ルノーは、それぞれが得意とする電動パワートレインを開発して、アライアンスで活用する。一部アライアンスの技術を活用するものの、マツダだけが、自前主義にこだわる。

 マツダが全方位の電動パワートレイン戦略を展開するのは国や地域ごとにニーズが異なるため。自動車メーカー各社がカーボンニュートラルに向けてEVシフトを鮮明にしているが、電池の資源問題や電力の問題もあって、すべてをEVに切り替えることは現実的ではない。

 燃料の改良などが進み、エンジンの価値が見直されれば、利益を独占できる可能性もある。臨機応変にパワートレインを展開するため、選択肢を狭めることはしない方針だ。

 マツダが全方位戦略を取り続けるのはこれまで培ってきた開発や生産の効率性に自信があるためだ。マツダは複数のモデルをまとめて開発する一括企画によって12年から6年間で9車種を市場に投入。モデルベース開発を活用するなどして開発効率を向上し、12年以降に投入してきた商品群で収益を上げてきた。今後、EVやPHV、ロータリーエンジンを使用したHVなど、異なる電動パワートレインモデルを混流で生産して生産コストの抑制を図る。

 ただ、ある意味リスクヘッジともいえる多様な電動パワートレインの展開は、開発投資などが負担となって経営効率が大幅に悪化するリスクもある。

 高水準の開発や生産効率を保ってもパワートレイン展開が多ければ一定レベルで追加の工数は発生する。資本力が小さいマツダが、計画通り全方位戦略を継続できるのか、業界も注視している。