商用車でも比較的電動化しやすい小型(写真はイメージ)

 政府は2050年カーボンニュートラルに向けた成長戦略で、小型商用車の電動車比率を30年に20~30%とし、40年にはすべて電動車と合成燃料などの脱炭素燃料車に切り替える原案をまとめた。乗用車についても30年代半ばに新車販売の100%電動車にする計画を35年とした。電動車シフトに合わせて車載用蓄電池の国内生産能力も引き上げる。政府は自動車産業の電動化を後押しすることで、日本経済をけん引する基幹産業を支えていく方針。半導体産業の国内誘致も進める。

 新たなグリーン成長戦略案は成長戦略会議で、梶山弘志経済産業相が公表した。脱炭素化と経済成長に両輪で取り組むグリーン成長戦略は昨年12月に策定し、その後、経産省が中心となって関係省庁と議論して追加的な施策を加えた。同会議で話し合われた「成長戦略実行計画案」にも盛り込まれ、今後、与党での審議を経て、月内の閣議決定を目指す。

 グリーン成長戦略で14の重要分野の一つに位置付けられている「自動車・蓄電池産業」では、昨年末に対策を先送りした商用車の電動化プロセスをまとめた。小型商用車は車両重量が軽く、比較的電動化しやすいことから導入目標を先行する。電動化が技術的に難しい大型車については貨物と旅客それぞれの用途に適する電動車の技術検証を進め、20年代に5千台の先行導入を目指す。並行して水素や合成燃料の研究開発にも取り組むことで、脱炭素燃料によるカーボンニュートラル実現に道筋をつける。技術進化の動向を反映させるため、大型車については30年までに40年目標を見直す方針だ。

 また、自動車・蓄電池産業における50年までの政策の工程表も一部見直した。電動化や蓄電池といったハード面に加え、クルマの使い方や災害時対応などソフト面を含めて今後10年間で基盤技術の整備を加速する。以降は社会実装を本格化させるとともに、自動運転技術などとも組み合わせ、交通事故や渋滞のない交通社会を目指すなどモビリティの新たな付加価値向上につながる取り組みも進めていく。

 さらに半導体が国の重要な戦略物資となっていることから先端半導体の製造拠点の誘致を進めることも盛り込んだ。車載半導体不足で、自動車の生産が不安定化している。

 一方、3日の日本自動車工業会の会見で、片山正則副会長(いすゞ自動車社長)は「成長戦略を生かして世界で商用車メーカーとしての責任を果たしていきたい。前例のない大きな技術革新の波の中、新しい技術を選択し競争力のあるコストで作り込むことが商用車メーカーとしての使命」と述べ、脱炭素に積極的に取り組む方針を示した。