新開発の全樹脂電池モジュール

 三洋化成工業の子会社で次世代リチウムイオン電池(LIB)の開発を手がけるAPB(堀江英明社長、東京都千代田区)は19日、輸送時の安全維持試験である国連勧告輸送試験「UN38・3」の認証を、大型の全樹脂電池で取得したと発表した。認証を取得したことにより全樹脂電池の海外定置用途に向けた航空輸送が可能になる。

 UN38・3は、広範囲な危険物の国際輸送の安全基準を定めるもので、LIBの国際輸送(船舶や航空、鉄道)にはこの試験に合格する必要がある。今回、APBでは約400㍉㍍×400㍉㍍×1・2㍉㍍のセルを40枚積層した大型モジュールで受験、温度や振動、衝撃など全8項目で合格した。同社では今回の認証取得を受け、風力や太陽光発電、モビリティ用途向け蓄電池システムへの製品・サンプル供給を進めていく。

 APBが開発する全樹脂電池は、従来のLIBより製造工程を短縮することで、コストやリードタイムの削減を可能とするとともに、高い異常時信頼性とエネルギ―密度を実現する。生産は、福井県越前市の武生工場で試運転を開始、10月の生産開始を目指している。