交通系ICカードの利用者特典に替わる新サービスが注目される

 首都圏の路線バス事業者が2007年から行ってきた交通系ICカード(パスモとスイカ)利用者に対するポイント・チケットサービス「バス利用特典サービス(バス特)」を廃止する動きが広がっている。各事業者は「開始から13年が経過し、ICカードの普及・促進という当初の目的を達成した」と説明している。これまでに付与された特典バスチケットは付与日から10年間有効ではある。ただ、バスを頻繁に利用する人にとっては、廃止で事実上の運賃引き上げとなる。このため各事業者は利用者に対し、定期券や他の割引乗車券、企画乗車券の活用を呼びかけている。

 首都圏のバスには、かつて支払い金額以上の利用ができたプリペイド式磁気カード「バス共通カード」があった。同カードに代わってICカードが登場し、バス特は各事業者が、バスとICカードの利用促進を目的に、利用額に応じてバスポイント・特典バスチケットを進呈する優遇策として始めた。

 1カ月当たりICカードで支払ったバス運賃1円ごとに1バス㌽が付き、1千バス㌽に達したら運賃に充当できる特典バスチケットが100円分付く。3千バス㌽なら160円分(累計で360円分)、最大1万バス㌽で180円(同1740円分)が付くなど、利用額が多い人ほどお得になるサービスだ。

 しかし、昨年度末から今月上旬にかけてほとんどの事業者がサービス廃止に踏み切った。廃止した主な事業者は、国際興業(ポイント付与終了日2月28日)、西東京バス(同3月12日)、伊豆箱根バス(同3月25日)、東武バスグループ(同3月31日)、相鉄バス(同)、西武バス(同)、小田急バス(同)、川崎市交通局(同)、神奈川中央交通(同4月2日)など。

 今後の廃止予定を公表したのは、京成バス(同4月25日)、東京BRT(同)、横浜市交通局(同5月31日)などとなっている。

 路線バスをはじめとした公共交通事業者は、新型コロナウイルス感染症を機にテレワークが広まり乗客が減少したこともあり、利用獲得に向けた新たな取り組みに迫られている。十数年続けたポイント・チケットサービスの廃止は一つの転換点であり、今後は、ITを活用した乗車促進策などの具体化が注目される。

(大城登志和)