(写真右から)森島龍太執行理事、阿部功会長、片山昌治副会長、土山正明監事

 国内電池産業の国際競争力を高めるオールジャパンの取り組みが始まる。電池・部材メーカーや自動車メーカーなどで構成する新団体「電池サプライチェーン協議会(BASC)」は14日、東京都内で設立総会を開催した。BASCは車載用バッテリーに関連する日系企業の国際競争力強化などを目的に4月1日に設立された。現在、電池需要は車両電動化で大幅に拡大する一方、日本の電池サプライチェーン構築に向けた動きは世界各国と比べると遅れを取っている。日本はBASCの設立により、電池産業のおける日系企業の競争力向上と脱炭素社会の実現に向けた業界課題の解決につなげていく。

 BASCの会長には住友金属鉱山で電池材料事業本部長を務める阿部功本部長、副会長には豊通リチウムの片山昌治社長が就任した。同日行った記者会見で阿部会長は「車両電動化は国内産業、会員各社にとってリスクであるが、関連事業を拡大する大きなチャンスでもある。国際競争力の維持、強化に向けて活動していく」と強調した。

 日系電池関連企業が連携しBASCを立ち上げた背景には、日本の電池産業が置かれた厳しい状況に対する危機感がある。特にサプライチェーンが抱える課題が少なくない。リチウムや天然黒鉛といった原材料の採掘が中国などに偏在していたり、部材製造の関しては増産時の投資負担が重いといった課題もある。また、中国や欧州、米国地域では各国政府による手厚い補助なども日本の電池産業の国際競争力を落とす原因になっている。

 国際的な標準化作りでも劣勢な立場にある。中国はリチウムの採掘と製錬、検査、分析、リチウム化合物の製造などに関するISO規格を作成する技術委員会の幹事局として存在感を示している。

 車載用リチウムイオン電池をめぐっては、パナソニックが日系電池メーカーとして孤軍奮闘するものの、CATLやBYD、LG化学など中国、韓国企業の存在感が高まっている。正極や負極、電解液などに使われる素材に関しては日系企業が強みをもつケースが少なくないが、近年は「国内電池部材のグローバルシェアは下落傾向にある」(BASC)という。

 BASCには14日現在、ホンダや日産自動車、デンソー、パナソニック、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ、GSユアサ、出光興産、三菱ケミカルや旭化成、東レなど約55社が参画する。電池サプライチェーンを構成する日系関連企業がタッグを組み、電池産業全体の国際競争力を高めていく。

 経済産業省の梶山弘志大臣はBASCの設立総会に当たり、「官民連携してオールジャパンで蓄電池産業の競争力強化につなげたい」とのコメントを寄せた。