オートバックスセブンは9日、中古車の個人間取引(C to C)プラットフォーム「クルマのえん」を立ち上げ、12日にサービスを開始すると発表した。中古車買い取り・販売事業で培った査定システムを活用することで、円滑な成約を促す。車両買い取りを希望しない顧客の囲い込みにつなげるとともに、サービスを通じて得たデータの応用も視野に入れる。
スマートフォン(スマホ)向けアプリとして展開する。同社の買い取り査定システム「査定ドクター」を用いて店頭で金額を算出できるほか、スマホでの簡易査定も可能とした。出品者は査定額を目安に、より成約見込みの高い価格で出品できる。アプリ上では車両が査定済みであることを確認できるマークを表示し、購入希望者の安心感確保にもつなげる。
出品手数料は無料で、成約時に車両本体価格の10%がシステム利用料として発生する。今後、蓄積した取引記録をブロックチェーン技術を用いて査定額に反映するなど、データの活用を通じて他事業とのシナジー創出も目指す考え。
購入時の消費税が発生しないなどの訴求点から、車両売買の新たな選択肢として個人間取引を提案する動きは広がっている。中古車大手イドムが2017年に「ガリバーフリマ」を立ち上げたほか、横浜トヨペット(宮原漢二社長、横浜市中区)も20年に「モビリコ」を導入し、今年中の全店舗展開に向けて実証を進めている。
オートバックスセブンの担当者によると、カスタマイズパーツ装着車など、一定のニーズがありつつ査定に反映されにくい属性のクルマを保有するユーザーにとっては、査定額以上の金額で売却したいと判断する例が少なくないという。用品販売事業と親和性の高いこうした顧客を取り込むことで差別化を図り、市場開拓につなげる。