トヨタ系レーシングチームを運営するトムス(谷本勲社長、東京都世田谷区)とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社は30日、モビリティサービスに関する包括的協業契約を締結したと発表した。人材育成やレースデータの利活用、アフターパーツ企業に対する事業継承支援など新たなモビリティサービスを提供する。車両電動化や自動運転技術の進展など自動車の産業構造が大きく変わる中、両社はアフターマーケット関連企業における変革支援のみならず、モータースポーツ産業の振興につなげていく。

 モータースポーツ関連企業とM&Aやコンサルティングなどを手掛ける事業会社の業務提携は珍しい。

 協業項目は7つ。(1)グローバル人材の育成(2)レースデータ分析(アナリティクス)(3)オートパーツメーカーへの事業承継支援戦略(4)EV技術等の開発、EVレース場の運営(5)eスポーツの展開とデジタルツインズの実現(6)スーパーシティ・スマートシティとの連携(7)オートメーカー全般を含むESG戦略の策定の7つに取り組む。まず4月から(1)(2)における協業を始める計画だ。

 (1)では今シーズンのスーパーフォーミュラ・ライツにトムスから参戦するジュリアーノ・アレジ選手をデロイトがスポンサードする。(2)ではレースマシンなどから得られる各種データを総合的に分析し、レース人材の育成やマシン開発に生かすほか、レース以外の分野でのデータ活用を検討する。

 (3)~(7)の項目についても順次取り組みを始め、各領域におけるサービス提供と事業構築を進める。