車内の様子(東急バス提供)
運行車両(東急バス提供)
カーステイが設置していたキャンピングカー

 通勤バスや街中に停めたキャンピングカーを通信システム、電源を完備した〝オフィス〟のように利用してもらうサービスが注目を集めている。コロナ禍を機に生じた「3密回避」、新型コロナウイルスとの共生(ウィズ・コロナ)といった新しい生活様式への対応を狙ったビジネスで、満員電車に代わる通勤手段やサテライトオフィスとしての利用を提案している。すでにバス会社やプラットフォーマーが都内で実証実験を行うなど、新規ニーズの吸収に向けた競争が活発化している。

(織部 泰)

 東急バス(山口哲生社長、東京都目黒区)は、2月16日から4月28日の期間限定で、シェアオフィスバス「サテライトビズライナー」の実証実験を展開中だ。住宅街と都心のオフィス街を結ぶ通勤バスで、平日の朝夕に運行している。

 運行経路は、朝便が同社の新羽営業所(横浜市港北区)および東急田園都市線の市が尾駅(横浜市青葉区)、たまプラーザ駅(同)を出発し、都内主要ターミナル駅である渋谷駅、東京駅に到着。夕方便はその逆経路となる。

 車両には、USB充電ポートや無料「Wi-Fi(ワイファイ)」を備え、行き帰りの道中で仕事をこなせることがセールスポイントという。

 運賃(大人)は乗車距離に応じて1千~2300円。例えば、たまプラーザ駅から渋谷駅は1千円となる。東急線の通勤定期券の所持者には、運賃割引などの特典を用意するなど、グループ会社の東急電鉄と連携して新しいアイデアの事業化に取り組んでいる。

 同社広報は、利用状況の開示は見合わせたが、「(サービス開始から時間が経ち)認知が広まるにつれて、利用者が増えている。実証実験を経て蓄えた知見を今後の展開に生かしていきたい」と意欲を述べた。

 キャンピングカー、バンのシェアリングを展開するカーステイ(宮下晃樹代表取締役、東京都新宿区)は3月8~12日、三菱地所と共同で東京・丸の内仲通りの路上に「モバイル・オフィス」を開設した。駐車したキャンピングカーをサテライト・オフィスとして利用してもらうサービス。これまでは郊外や住宅地で実施してきたが、今回初めて都心部で試した。

 モバイルオフィスには、同社「バンシェア」に登録されるキャンピングカーを使った。ワイファイや冷蔵庫を装備した車両で、快適な仕事空間を提供できたという。

 予約には三菱地所の仕事スペースマッチング支援アプリ「NINJA SPACE(ニンジャ・スペース)」を活用し、1組(2人まで)当たり最大1時間の利用を可能にした。実証実験を行った5日間で、10組ほどが利用。利用目的の多くはリモート会議で、想定通りだった。

 同社広報担当者は「実証実験の結果を踏まえて、今後の展開を検討していきたい」と手応えを示した。

 自動車に関わるさまざまな企業がビジネスパーソンに向けて新たなサービスを提案している。新型コロナとの共生が今後も続く見通しの中、独自のアイデアを生かして新たなサービスを試行する事業者が今後も増えいくことになりそうだ。