ホンダは10日、2021年の春闘で労働組合側が要求していた年間一時金5.3カ月分(昨年実績は5.95カ月)を満額回答したと発表した。「将来に向けて労使で大胆かつスピード感を持って改革に取り組んでいくため」(ホンダ)としており、大手自動車単組の集中回答日である3月17日よりも1週間早い異例の早期妥結となった。

 一時金の満額回答は2年ぶり。会社側は「今期の業績は減益を見込んでいる。過去に類を見ない先行き不透明な状況だ」とした上で、「従業員がコロナ禍という特別な状況下で事業継続に懸命に取り組んできた」と評価した。早期妥結については「2030年ビジョンや2050年の『カーボンニュートラル、交通事故死者ゼロ』の目標を成し遂げるには今が一番重要な時期であるという認識を労使で早期に分かり合えた」とした。 労組は今回の春闘で、コロナの感染拡大など事業環境の厳しさを背景にベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分の要求を8年ぶりに見送っていた。