協定を結んだ部工会の豊田周平委員長(写真右)と豊橋技術科学大学の寺嶋一彦学長

 日本自動車部品工業会(部工会、尾堂真一会長)は11日、豊橋技術科学大学(寺嶋一彦学長)と包括的な産学連携協定を結んだと発表した。部工会がこうした協定を結ぶのは初めて。今後は他の大学にも協定を広げ、共同研究や自動車産業を担う人材育成につなげる。

 同日、部工会の豊田周平総合技術委員長(トヨタ紡織会長)と寺嶋学長が協定書に調印した。4月から機械工学大学院の学生を対象にトヨタ紡織などのサプライヤーで働くエンジニアが1年間、特別講義を開講する。加えて、学生を対象とした見学会やインターンシップ、大学教員がエンジニアにリカレント(学び直し)教育の機会を提供するなど、人材育成や教育につながる取り組みで協力していく。協定は3年間で、必要に応じて更新する。

 豊田委員長は「(部工会として)初の取り組みとなるが、幅広い連携により自動車部品業界の実力向上につなげ、将来を担う優秀な人材が育成されることを期待している」と語った。寺嶋学長は「機械工学以外に、本学の情報や電気電子、建築などと連携していきたい」と期待を示した。

 サプライヤーが個別に大学などと連携する例はあるが、部工会が窓口となって取り組むのは初めて。すでに他の大学から連携の打診が寄せられており、前向きに応じる方針だ。大下政司専務理事はこうした産学連携の成果について「中小企業の人材育成にも展開していきたい」と語った。