昨年度の厳しい事業環境を説明する山口会長

 東京バス協会(会長=山口哲生東急バス社長)は、日本バス記者会加盟社向け懇談会(記者会見)を開催した。会見では2019年度の実績を発表したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、都内の路線バス(乗り合いバス)の同年度輸送人員、運送収入は、ともに10年ぶりとなる前年実績割れで、貸し切りバスも19年5月の収入がほぼゼロの前年比98%減(同協会貸切経営委員会10社アンケート)となるなど、業界の厳しい状況が示された。

 路線バスは、19年度の輸送人員が8億875万1千人(前年度比1・4%減)、運送収入が1343億6400万円(同0・9%減)で、09年度から18年度まで9年連続で前年度超えの実績だった記録が途絶えた。これまで都内は、沿線人口の増加や運転免許を返納した高齢者の利用増加が業績の押し上げにつながっていたが、コロナ禍でテレワークや休校、外出自粛が広がり、業績の重しとなった。

 貸し切りバスも、コロナの影響が出始めた昨年2月の収入(10社アンケート)は前年比13%減にとどまったが、初めての緊急事態宣言が発令された同4月から同8月にかけては9割以上減少した。同11月には前年比66%減まで戻ったが、今年1月は再び宣言が発令されたこともあり、9割以上の減少に戻ってしまった。秋のGoToトラベル事業開始が他府県より遅れたことも影響し、昨年10~12月の減収率は他地域よりも悪化した。

 山口会長は自社(東急バス)を例に挙げ、「人件費が売上高の3分の2を占め、固定費比率が高い。1割の乗客の減少で損益分岐点を割り込んでしまうという事業構造になる」と述べ、抜本的な構造改革を進めていく考えを示した。

 さらに、高速・空港連絡・貸し切り事業については「高速空港は対前年7、8割の減収、貸し切りバスに至っては9割以上の減。コロナの影響を最も受けている業種の一つ」と述べ、自助努力には限界があり、国や自治体に対する支援要請を引き続き行っていくとした。