ホンダは19日、三部敏宏専務取締役を4月1日付で社長に昇格させる人事を発表した。ホンダのトップ交代は6年ぶり。パワートレインに精通する三部氏をトップに据え、カーボンニュートラルに向けた取り組みを急ぐ。八郷隆弘社長は4月に取締役となり、6月の定時株主総会で退任する。
三部氏は記者会見で「八郷さんが築いてきた地盤の上に新しい建物を建てていきたい」と抱負を述べた。
三部氏は1987年に入社後、エンジンなどを中心に技術開発部門が長く、2019年には本田技術研究所の社長に就任。自動運転、電動化の技術開発をけん引してきた。
15年に社長に就いた八郷氏は伊東孝紳前社長時代の拡大路線を軌道修正する形で生産能力の大幅縮小や開発効率化、F1撤退など筋肉質な経営基盤づくりに取り組んできた。「打つべき手が出そろい、確実な実行と成果の刈り取りの段階に入った」(八郷氏)ため、バトンを三部氏に譲る。倉石誠司副社長は続投する。
6月の総会では八郷氏や伊東氏らが退任する一方、鈴木麻子氏が取締役に就く。鈴木氏は社外取を除く初の女性取締役となる。また、監査等委員会設置会社から指名委員会等設置会社に移行する。
三部 敏宏氏(みべ・としひろ) 1987年広島大学大学院修了、同年ホンダ入社。2014年4月執行役員、18年4月常務執行役員、20年6月専務取締役。1961年7月生まれ、大阪府出身。