モータースポーツで培った性能を訴求(写真はトヨタ「GRヤリス」)
チャイルドシートを同社で初めて発売
リクライニング機構搭載シートも刷新

 今年1月に創業40周年を迎えたブリッド(高瀬嶺生社長、愛知県東海市)。機能性やデザイン性に優れるスポーツシートを手掛けるほか、近年は商用車向けシートや室内用チェアベースも展開している。3月には同社初となるチャイルドシートの投入を予定するなど、ラインアップのさらなる多様化を進める。長年力を入れてきたモータースポーツ会場や自動車イベントでの展示が困難となる中、足元では動画配信サイト「ユーチューブ」での露出も積極化するなど、新たな商品と新たな訴求策を積極化している。(内田 智)

 同社は昨年4月、スポーツシートをオフィスチェアとして使えるアタッチメント「マルチキャスターPRO」を発売。コロナ禍の中、在宅勤務の浸透に伴う室内用チェアのニーズ急増も追い風に、大きな注目を集めた。着座時間の長いウェブ関係・デザイン関係のオフィスで導入実績があるほか、同社が協賛するeモータースポーツの公式大会「JeGTグランプリ」でも提供している。同6月にはシートの端材を使ったマスクも発売するなど、時流に沿った機敏な商品展開を見せた。

 スポーツシート以外にも商品群を拡充する中、新たな目玉として投入するのが同社初のチャイルドシート「コンフォルテ」だ。チャイルドシート専門メーカーのリーマン(中林克司社長、愛知県愛西市)と共同開発した日本製シートは、新生児から4歳頃までの幼児に対応。アイソフィックスや欧州規格R129に対応するなど、優れた品質を追求しつつ、同社ロゴや赤の配色を施して既存製品との一体感も高めた。高瀬社長は「チャイルドシートは長年にわたり製品化を目指してきた。家庭を持つ既存ユーザーも少なくないだけに、『親子でブリッド』を合言葉に訴求したい」と意欲を見せる。

 主力商品のスポーツシートも積極的に投入している。19年11月にフルバケットシート「ジータⅣ」「ジーグⅣ」を16年ぶりに全面改良したのに続き、今年2月には15年ぶりに全面改良した「ストラディアⅢ」を発売。フルバケットに匹敵する体勢保持性能のセミバケットシートとしながらリクライニング機構を搭載したストラディアは、各部品を国内調達にこだわり、強度を従来品から大幅に高めたほか、操作部もダイヤル式からレバー式とした。

 想定する使途はスポーツカーでのレース走行だ。トヨタ自動車「GRヤリス」やスバル「BRZ」などの後席を備える3ドア車では、前席を2座とも非可倒式とすることはできないため、リクライニング機構が必須となる。また、車内空間に限りのあるスポーツカーでは、小型レバーをわずかな動作で素早く調整することも求められる。こうした細かな改良を施しつつ、シートベルト用の開口も4点から6点に増設するなど、顧客の要望を汲みながらレース向けの仕様を成熟させた製品は「モータースポーツで培った技術の集大成だ」(高瀬社長)と胸を張る。

 20脚近いシートの展示を予定していた東京オートサロン2021の会場開催が中止となるなど、顧客とのリアルな接点の確保が難しい中、課題となるのは訴求策だ。ユーチューブでは室内用アタッチメントの取り付け方法を解説する動画を投稿したほか、40周年を記念して制作したカタログでは車両ごとのシート装着例を約1年かけて撮影・収録した。「スポーツシートの特性上、ユーザー目線で使い勝手や見た目を伝えることが欠かせない」(同)と、さまざまな露出方法を模索する。足元では、同社が制定に携わった4月10日の「シートの日」に向けたキャンペーンも計画。クルマの内外で着座環境を支えるものづくりをアピールし、カスタマイズ市場での存在感を一層高める構えだ。