IHIは、自動車向け過給機(ターボ)の電動化に用いるモーターを内製化する。マイルドハイブリッド車(HV)向け電動アシストターボや燃料電池車(FCV)向け電動ターボコンプレッサーに搭載する。内燃機関のみの既存の領域は、国内外での環境規制の強化で2030年以降の需要拡大が見込めない。HVを含む電動車向け製品の実用化を目指すとともに、主要部品のモーターを内製化することで競争力のある製品開発を進める。

 FCV向け製品は過去に欧州自動車メーカーの乗用車で納入実績があるが、台数はわずかでモーターは外部から調達していた。今後は電動化製品のラインアップの拡充を視野に入れ、製品の核となるモーターとその生産技術の開発を自前で手がける。

 同社が電動ターボに用いるモーターは「一般的なモーターとは設計が異なり、手がけるメーカーがいない」ことも内製化する理由としている。ただ、量産時は受注動向や収益性などを踏まえて、一部の生産で外部企業とのパートナーシップも活用する。まずは20年代前半にも欧州のプレミアムカーなどで普及が進む48㌾のマイルドHV向けの電動アシストターボへの搭載に向けた準備を進める。

 FCV向けには電動ターボコンプレッサーを開発する。水素と化学反応させて発電するために必要な酸素の効率的な供給を担う。また、化学反応で発生した水蒸気でタービンを回転させる、エンジンの排気ガスでタービンを回すターボチャージャーに似た独自の構造を強みとする。

 ラインアップは、出力を向上させた排気量3㍑クラスの乗用車と商用車用での実用化を視野に入れる。長距離輸送が求められるトラックなど大型車両は、航続距離などの点で電気自動車(EV)よりも水素による電動化が先行するとみて開発を進める。サンプル出荷はすでに開始しており、早ければ20年代半ばの実用化を見込む。