片山正則(かたやま・まさのり)社長

 いすゞ自動車にとってUDトラックスをグループに迎え入れることになる今年は節目の年になる。2021年度に始まる新中期経営計画では、UDとの統合効果の最大化やカーボンニュートラルに向けた具体策を実行する。 (水鳥友哉、長谷部博史)

 ―足元の状況と21年の市場見通しは

 「20年度第3四半期以降の商用車市場は期初予想の水準に近い形で回復してきている。期初は下期に前年同期比で1割減まで回復すると見通していた。新型コロナウイルスの影響が完全に見通せている訳ではないが、21年度は19年度の実績に近い水準にまで回復するとみている。当社にとっても市場の回復に遅れないように事業基盤を固めていく年になる」

 ―懸念材料は

 「地域によって状況が大きく異なる。一つはアフリカがあまりよくない。ただ、他の地域よりも遅れてはいるが徐々に回復の兆しがみえてきた。それに対してインドネシアは、あまりに厳しい状況が続いたことを考えるとこの先の動きも読みきれない。半導体不足の問題は直接的な大きな影響はない」

 「来期は新型コロナからの回復、というか、むしろリバウンドもあるかもしれない。いずれにしてもきれいに回復していく訳ではないし、正直、足元でもつくりきれない状態になっている。サプライチェーンの問題も含めて、うまくオペレーションしていくことが課題だ」

 ―21年前半にはUDがグループに入る

 「まず、国内外の顧客に絶対に迷惑をかけないことが大前提。その上でやはり非常に大きな投資をしているので、21年度に始まる新中計の中でその効果をしっかりと出していく」

 ―国内の販売・整備体制はどこまで合理化するのか

 「当社の現状の拠点は約240拠点で、さらにUDと合わせると400拠点を超える。ただ、われわれとしてはそれほど余剰とは思っていない。もともとコネクテッドによる入庫率の向上でキャパシティーが厳しくなっていた。この部分は今後も強化していくし、アフターサービスの受け入れ体制を強化する必要があった。UDの拠点と人材をうまく活用していく」

 ―政府では21年夏に向けて商用車でも電動化に向けた議論が進む。今までEV(電気自動車)には慎重だったが、考え方に変化は

 「大きく変化した。今までは、お客さまはプロだから使い勝手の良し悪しをしっかりとお伝えすることがわれわれの役目ということで、商用車は使い勝手が悪いと普及しないというスタンスだった。実際、当社もHV(ハイブリッド車)を出しているが、1%もいかないのが良い例だと思う。ただ、商用車だからといってそうとも言ってはいられなくなった。ゲームチェンジだということを強く感じている。お客さまに迷惑をかけない範囲で、先に商品を投入して使っていただくというスタンスにスイッチを切り替えた。当然、社会全体の構造が変わらないとカーボンニュートラルは達成できないが、われわれは、それが並行して進むという想定の下、もう前に走るしかない」

 「一方で、われわれ商用車メーカーが率先してやらなければいけないのは積載効率の改善だ。トラックの積載効率は50%を下回る。つまり、積載効率を改善できれば、トラックの台数と二酸化炭素(CO2)を半分以下にできるということ。そこにはコネクテッドの技術が生かせると思う」

 ―欧州ではeフューエルの活用に向けた検討も進む

 「eフューエルは、われわれも前から注目している。再生可能エネルギーを安定的に供給しようと考えた時、一つの大きな解になる。エネルギー密度でいうと全固体になっても電池では高が知れている。内燃機関をそのまま使用できるメリットは大きい。一方、太陽光発電の場所の確保など課題もまだまだある。菅義偉首相の方針から考えても特に大型トラックでは燃料電池の方がまず現実解になるのではないか」