フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが合併し、世界販売4位の新たな自動車会社「ステランティス」が誕生した。プラットフォームの共有化や共同購買などで年間のシナジーは50億 ユーロ (約6千億円)と見積もる。先進分野の投資も統合して電動化対応を加速する。自動車メーカーの協業を巡っては、ルノーもこのほど発表した中期経営計画で3社連合の枠組みによる台当たりコスト改善を打ち出した。コロナ禍での業績悪化に加えて脱炭素社会に向けた電動化の波が一気に押し寄せる中、各社は協業を加速して生き残りを図る。

 PSAの最高経営責任者(CEO)でステランティスのCEOに就いたカルロス・タバレス氏は日本時間の19日深夜、統合後に初めてオンライン会見を開き「きっかけは自動車産業が直面している数々のチャレンジを起因とするディフェンス(防御)だが、われわれは同時にこの大変革をチャンスととらえ、防御をオフェンス(攻撃)に転ずるべく、世界をリードするモビリティ・プロバイダーになる」と述べた。

 FCAは大衆車を中心としたフィアットをはじめ、アルファロメオやマセラティといった高級車の伊ブランドと、ジープやクライスラーなど米ブランドを展開。販売の68%を北米が占め、売上高は1080億 ユーロ (約13兆6千億円)。PSAはプジョー、シトロエン、オペルなどで欧州販売が89%を占める。売上高は590億 ユーロ (約7兆4千億円)となり、両社の合計売上高は20兆円超となる。合併後の営業利益は120億 ユーロ (約1兆5千億円)、営業利益率は7%、自動車向けフリーキャッシュフローは50億 ユーロ (約6千億円)と財務体質が強化される。

 合併の相乗効果としては、プラットフォームやシステムの統合と電動化などの開発投資の統合による製品関連で40%、共同購買で35%、販売および一般管理費で25%削減することで年間約6千億円を生み出す見通し。タバレスCEOは「合併時に一時的に発生する40億 ユーロ (約5千億円)も補う効果」とシナジーを強調する。

 電動化対応については、現在の電動車ラインアップ29モデルに21年末まで10モデルを追加する。また、25年までに新規投入するすべてのモデルに電動車を用意する方針を示した。

 電動化や自動化などの先進技術への対応は、今や企業間の協業によるスケールメリットを享受しなければ困難になっている。コロナ禍で業績悪化が避けられない中、先進技術開発への影響も少なくない。

 14日に新中計を発表したルノーは、日産自動車と三菱自動車3社連合の共有プラットフォーム適応率を8割にまで引き上げて開発効率を向上するなど、アライアンスの取り組みを加速する方針だ。ホンダはゼネラル・モーターズ(GM)との協業範囲を広げ、21年中に日本で自動運転の実証実験を実施する。

 コロナ禍では19年世界販売トップのフォルクスワーゲン(VW)や2位のトヨタ自動車も同業・異業社問わず連携を広げている。欧米大手2社の合併によるグループ再編が進んだことで、自動車の世界勢力図が大きく変わる可能性がある。