ブリヂストンは、タイヤメーカーからデータを生かしたソリューション企業への転換を目指す。足元では拠点の統廃合や製品群の見直しを進め、過去の拡大路線による負債の精算を急ぐ。「第3の創業」と位置付けた2020年をボトムに、稼ぐ力を再構築する。(村田 浩子)

 ―20年12月期決算は69年ぶりに最終赤字を見込む

 「新型コロナウイルスの影響が響いた。いち早く回復した中国に加え、6月末から北米なども需要が戻ってきたが、厳しい。ここ数年は高コスト体質になりつつあり、営業利益率も低下傾向にある。事業によっては大赤字のものも。過去の課題を見える化し、正面から向き合う時期に来た」

 ―昨年7月に発表した「中長期事業戦略構想」内でソリューション企業への転換を打ち出した。データ活用に重きを置いた戦略だが勝算は

 「地面との唯一の接地帯であるタイヤから得られるデータを持つのはわれわれだけだ。すでに摩耗予測技術を確立しており、耐久予測技術に着手している。これらのデータを用いれば、車両開発の上流から関わることができるようになる。シミュレーション上で自動車とタイヤを一体開発することで、リアルでトライ&エラーを繰り返すコストや時間を削減できる。BMW『i3』のタイヤなどはこの手法を用いた。乗用車だけでなく、商用車や航空機などモビリティ全体で共創を図り、従来のタイヤメーカーの枠を超えた企業を目指す」

 ―利益率の改善を目指しているが、ソリューション事業はその突破口になるのか

 「欧州で展開しているデータを用いた運行管理サービス『ウェブフリート』の営業利益率は、すでに25%に達している。リトレッド事業も25%近い利益率になっており、サブスクリプションモデルと組み合わせることで、付加価値をさらに高めていく」

 ―不採算事業からの撤退や世界規模での拠点網の再編を進めている。進捗は

 「昨年は仏べチューン工場や南アフリカのポートエリザベス工場の閉鎖を発表した。165拠点のうち設備が古い拠点などが対象で、23年までにかなり(再編を)進めたい。欧州地域の集約などバランスを見て取り組んでいく。バイアスタイヤは新興国を中心に仕事はあるが、需要減は時間の問題だ。一方で、足元の業績が厳しい航空機用タイヤは技術の塊であり、コア技術としての役割もある」

 ―市販用タイヤのオンライン販売を本格化する。電子商取引(EC)は低価格タイヤが中心だがどう差別化するのか

 「価格ではなく、品質やアフターサービスの面を重視する従来とは異なるニーズが増えてきた。タイヤにホイールや足回りの調整サービスなどをパッケージし、販売店を通して提供する。欧州で展開する『モボックス』のようなサブスクと組み合わせることも視野に入れる。販売店への送客と売り方の多様化が目的だ。高価格帯商品として提供することで、新しい市場を築きたい」

 〈プロフィル〉いしばし・しゅういち 1977年静岡大学人文学部卒業後同社入社。米国子会社ブリヂストン/ファイアストンの副社長などを経て2005年に執行役員。19年に代表執行役副会長を経て20年から現職。1954年1月生まれ、67歳。福岡県出身。