JFEケミカルは、リチウムイオン電池（LIB）用負極材、フェライト材料、プラスチック成形材、の機能性化学品三分野で車載向け製品を展開・強化している。
LIB用負極材では20年以上蓄積した技術力と製品ラインナップを持つ。また中国との合弁会社として稼働する新工場でニードルコークス系負極材を生産し、電動車向けにほぼ全ての負極材の品揃えとなる。さらに、「全樹脂電池」と呼ばれる、集電体が樹脂でできている新型LIBを開発するスタートアップ企業のAPB社に出資し、全樹脂電池に不可欠なハードカーボン系負極材を供給する。
フェライト材料では原料酸化鉄から製品フェライトコアまで一貫生産している世界でも数少ないメーカーの一つであり、顧客要望への対応力に強みがある。国内に加え中国、タイで生産しており、EV／HEV／PHEVなどに搭載されるDC-DCコンバータやスマートエントリー用アンテナバーなど、車載市場への展開を強化している。グループ会社のJFEフェライト倉敷工場での新規焼成炉の建設、車載電源の大容量化や高周波対応など、更なる拡販、品質向上を進めている。
プラスチック成形材（KPシート）はポリプロピレンとガラス繊維を主原料とするシート状のプレス用成形基材である。剛性が高く、成形性にも優れた軽量素材として、自動車の内装天井やリアトレイ、アンダーカバーなどに採用されており、グループ会社のケープラシートが生産を担っている。今後は更なる剛性強化、軽量化ともに、吸音性、遮熱性などを切り口とした新規用途開発も行っていく。
JFEケミカルは、千葉市のケミカル研究所で顧客密着をモットーに上述の車載向け機能性化学品3分野などの新商品開発を行っている。さらに近年、この3分野では親会社のJFEスチール研究所とのコラボレーションを行っており、鉄鋼の製造で培った高度な構造解析技術を生かして高性能商品を共同開発していく。
