東京モーターショー2019に出展した下流アシストタイプのEPS

 日本精工は、電動パワーステアリングシステム(EPS)の設計開発でベースの仕様を共通化する。EPS開発の人員や時間を大幅に効率化するのが狙い。新開発した下流アシストタイプのEPSから導入しており、既存の上流アシストのEPSでも今後の新規案件から取り入れる。EPSは自動車事業の売上高で高いシェアを占める主力製品。ラインアップを拡充するとともに、設計開発のスピードと効率を高めることで競争力を向上する。

 新たな手法は、主に車格ごとにステアリング操作をアシストするトルクの大きさでベースモデルを設定。ベースモデルを基準に同じ車格でも高級車や量販車、セダンやSUVなど種類の違いを操作性や味付けで作り込む。車種ごとに一から設計開発していた従来手法と比べて工数を大幅に減らすことで、自動車メーカーの開発スピードを高めるとともに、顧客が要望する作り込みに時間を有効利用できるようにもする。

 同社の内山俊弘社長は「開発の無駄を減らし、人の効率を上げることを可能にした」と新手法の導入に手応えを示す。ベースモデルは今後、自動運転のレベルや安全性の要求レベルの変化に応じて改善や見直しも図っていく考えだ。

 同社は2019~21年度まで3カ年の中期経営計画で、ステアリング事業の再成長を掲げる。EPSは自動車事業の主力製品だが、現中計では得意とする上流アシストタイプを供給する車種の相次ぐ生産終了が収益に影響を及ぼしている。需要が高まる下流アシストタイプの生産能力を競合各社が増強する中で出遅れた格好だが、再成長の鍵として「下流アシストタイプの開発が大きなテーマ」(内山社長)とする。

 EPSのラインアップ拡充に併せて、設計工数やリードタイムの削減、案件当たりの研究開発(R&D)費用の効率化も推進する。また、19年7月に独フォルクスワーゲン(VW)と協業を開始し、23年頃の量産化に向けた新製品の開発も進める。協業や自社開発によるラインアップの拡充とコスト競争力の強化で、ステアリング事業の巻き返しにつなげる。