豊田合成が生産する高圧水素タンク(写真左端)

 豊田合成は10日、燃料電池車(FCV)向けの高圧水素タンクを生産するいなべ工場(三重県いなべ市)が稼働したと発表した。同日、開いたラインオフ式で小山享社長は「世界に普及するFCVの発展に向け、高圧水素タンク事業を通じて貢献するとともに地域経済の発展にも尽力していく」と語った。

 いなべ工場は同社が約120億円をかけて建設していたもの。太陽光や風力発電、水素燃料電池発電や地中熱空調などを備え、二酸化炭素(CO2)排出を抑えたことも特徴だ。11月からトヨタ自動車の新型「ミライ」向けの高圧水素タンクを生産している。タンク自体もトヨタと共同開発した。材料や設計、生産技術などを大幅に見直すことで、同じ重さのタンクと比べて水素を1割多く充填できるようにしたという。

 同社は初代「ミライ」の水素タンクの一部工程を手がけていたが、今回は成型から硬化、炭素繊維強化プラスチックなどの巻き付け、最終検査まで自社でこなし、トヨタに納める。初年度の生産量などは非公表だが、FCVの普及に伴い、さまざまな大きさの水素タンクを供給するため、生産能力を段階的に強化していく考えだ。