蓄積したデータを最大限活用し、課題を解決する
四輪事業本部事業推進部データマーケティンググループ 浅見博信MGR

 中古車流通市場のビッグデータを活用し、会員のビジネスを"1to1"(顧客一人ひとりの嗜好にあわせて展開するマーケティング活動)で支援する取り組みがオークネットで始まっている。データマーケティンググループの浅見博信MGRは、中古車事業で在庫管理などの判断を担当者の経験と勘に任せている現状では「適切なタイミングでの判断が難しいだけではなく、事業継続性にも課題がある」と指摘する。市場に出回るさまざまなデータを人工知能(AI)を用いて収集・分析し、会員のマーケティング活動に生かして業務効率・収益の最大化につなげる。浅見MGRは「データに裏付けされたビジネスを業界のスタンダードにしていきたい」と展望を語る。

 中古車オークション(AA)の現車会場を持たないオークネットだからこそ、仕入れから小売り、業販まで一貫してサポートできる体制が整っている。こうした一連のサービス過程で生まれたデータを活用し、会員の業務をトータルサポートできる仕組み作りを本格化するため、「データマーケティンググループ」が7月に新設された。

 在庫車両の仕入れ価格や在庫期間など会員が持つデータと、市場に出回る中古車の小売り、業販価格などオークネットが集めたデータをかけ合わせて分析し、会員のビジネスに役立てる。特定の車種の相場や輸出の動向などわずかな市場の変化もわかるため、長期在庫になる可能性が高い小売り車を業販に切り替えるタイミングが予測できるなど、活用の幅は広い。

 一方で、「経験と勘で成り立っていた業界に、デジタルをどう融合していくかが課題だ」(浅見MGR)と、ビッグデータに対して抵抗感を持つ会員も少なからずいるという。しかしながら、現場では様々なシーンで調べる・判断することが行われているため、その意思決定を最適化するデータ活用サービスを展開し、利便性を広く訴求していきたい考えだ。

 そして、ビッグデータを活用した新しい中古車流通の仕組みの構築をさらに加速させる。車両の検索・応札・在庫状況などにより、AIが購買意欲が高いと判断した会員へアプローチするマーケティング手法は既に導入しているが、今後は車を探そうとしたら探したかった車のリストができあがっていた・小売りを続けるか悩む在庫に買い手を見つけてきてくれたなど、オークネットを使えば使うほどその何倍も恩恵に与られる、そのような1to1の会員体験実現に向けオークネットは動き出している。