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 ヤフー(川邊健太郎社長、東京都千代田区)は、同社が運営するオークションサイト「ヤフオク!」と「ペイペイフリマ」のガイドラインを改定し、9月から中古エアバッグの出品を禁止した。日本自動車リサイクル機構(JAERA、酒井康雄代表理事)、自動車リサイクル促進センター(JARC)、自動車再資源化協力機構(JARP)など自動車関連団体からの要請を受けて実施に踏み切った。自動車リサイクル業界が長年、問題視していた中古エアバッグの流通是正が期待される。

 使用済み自動車に装着されているエアバッグは、解体業者による取り外し回収、または車上作動処理を行ったうえで自動車メーカーなどへの出荷が自動車リサイクル法で義務付けられている。エアバッグがガスや火薬を使用しており取り扱いに危険が伴う点、異常展開や事故発生時の不作動でユーザーの安全性を担保できない点などから、取り外し後の販売は禁止されている。

 一方で、ECサイトなどでは、中古エアバッグの売買が日常的に行われていた。JAERAが2020年2~5月に実施した調査によると、月平均で4、5万件の出品があり、1日100件ほどが売買されていたという。JAERAは「解体事業者が中古エアバッグを販売した場合は違法だが、整備現場で取り外した物の出品はグレーゾーンとなっている。収益化を図る事業者がいるのではないか」と、制度の隙間をついて売買が行われている現状を把握する。

 また、近年多発している水害の被災車から取り外したエアバッグが流通した場合、異常作動して事故につながる危険性も指摘する。JAERAでは出品禁止を受け、会員への周知と一般ユーザーへの認知向上を推進する。

 ヤフーは、業界団体との意見交換を通じて、中古エアバッグの危険性を確認し、出品停止物品に追加した。今後は、違反申告フォームからの情報提供を受け付け、サイト内のパトロールも実施する。発見した場合は出品を削除する。同社では、ユーザー保護の観点から、随時、危険性の高い物品の見直しを進めていく。