藤崎慎一郎社長(右)と大畑智常務執行役員(左)

 オークネットは、今年6月で創業35周年を迎えた。自動車業界が100年に1度の大変革期を迎える中で同社も時代の変化に対応しようとかじを切った。連載では「DX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション」をキーワードに、6回に分けて取り上げていく。初回は、藤崎慎一郎社長と大畑智常務執行役員に四輪事業全体の戦略について聞いた。

 ―オークネットが考えるDXソリューションとは

 藤崎「オークネットが長年蓄積してきたデータを使ってお客さまが抱える課題を一緒に解決していくこと。ディーラーをはじめ大きな組織を持つ企業向けには中古車事業をトータルサポートし、中小規模の企業向けには本来行わなければならないシステム投資をオークネットのシステムを活用してもらうことで同様なサービスが受けられるよう体制を整えている。この他、お客さまのニーズに合わせてカスタマイズされたソリューションの提供も行っている」
 大畑「販売や買い取り、輸出など、業態によってもニーズが変わってくる。お客さまが求めることを把握し、オークネットとの付き合いにより収益が上がったと感じてもらえる事業者を少しでも多く増やしていきたい」

 ―膨大なデータを活用してどのようなことに取り組んでいきたいか

 藤崎「従来は単に出品をお願いするケースが多かった。これからは、AISの検査やAA実績など、過去に蓄積してきたデータに基づいて情報提供、サービスの提案を行っていく。データに基づいているからこそ営業活動やサービス提案に信頼性を持たせることができる」

 ―現在課題としていることは

 大畑「おかげさまで、上場なども行いオークネットの業界での認知は広がっている。しかし、私たちが現在提供しているサービスの内容をすべてご理解頂けていない。従来以上に周知活動に力を入れていかなければならない」
 藤崎「コンプライアンスなど上場会社だからこそ世間から求められるレベルが高い。全社員が一丸となって丁寧な対応を心掛けている」

 ―流通企業からソリューション企業へと成長しようとしている

 藤崎「弊社は、テレビオークション事業から始まった。共有在庫や車両検査、車両保証をはじめ現在では流通にかかわる様々なサービスを提供している。テレビ電話などを使った『インサイドセールス』に移行しているが、対面での営業も続けていく。人情やつながりを大切にしつつデジタル化を推進していきたい」

 ―中長期的な方針は

 藤崎「コロナ禍は、テレワークをはじめ、会社での働き方に大きな変化を与えた。各企業が業務の効率化をしていこうと考えた時に、すぐ近くに『オークネット』があると認識してもらえるようにしていきたい。この先5年間で業界では欠かせない存在となるべく努力していく」

次回は11月4日の掲載予定です。