ライブ配信により、リアルタイムな情報を受発信できる

 木村情報技術(木村隆夫社長、佐賀市)は、ICT(情報通信技術)を活用した様々な事業を展開する。2005年に設立した同社の主力事業は、ウエブ講演会の運営や動画配信だ。製薬会社のMR(医薬情報担当者)だった創業者の木村社長が、学術講演会の集客手法などを業界の課題と捉えていた製薬会社と、時間に追われる医療従事者をつなぐ手法として事業化したものだ。コロナ禍で外出自粛が広がる中、中小企業の営業活動にも効果的とみてデジタルツールの導入を支援する。
 同社は、全国9カ所に専用スタジオを完備し、インターネットテレビ局と同等の機材を取りそろえ、質の高い独自のライブ配信技術を確立する。現在は製薬会社や医療機器メーカーを中心に約100社、年間3500回以上のウエブ講演会などのライブ配信を請け負い、製薬業界向けではトップシェアを誇る。
 オンラインのライブ配信は、「場所の制約を受けずに視聴できる」(木村社長)だけでなく、参加者の移動時間やコストの負担の解消にもつながる。コロナ禍では対面での講演会などの中止が相次ぐ中、様々な業種でオンラインの活用が拡大し、同社への引き合いが高まっている。

移動時間やコスト負担減で商談につながる機会増加

 オンライン活用のメリットは、発信する側のメリットも高い。従来の対面方式では、会場を借りるコストや収容人数、遠方からは参加しにくいなどの課題は多い。会場では100人だった出席者数が、ウエブでは数千人の視聴者へと拡大する可能性を秘める。時間的な制約などでリアルの講演会に出席できなかった各企業のキーパーソンも視聴参加し、商談につながる機会の増加も期待できる。また、オンライン活用では視聴者の属性や視聴時間なども細かく収集できるため、継続的な改善も可能でより効果的となる。
 木村情報技術による中小企業の営業活動支援では、ウエブ講演会で同社配信システム「3eLIVE」、商談などでウエブ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用する。ウエブ講演会などでのノウハウを生かし、オンラインでの効果的な製品やサービスの紹介方法のサポートも予定している。

(4回連載)